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真の三位一体改革の実現に関する緊急決議

第74回全国市長会議 決議




真の三位一体改革の実現に関する緊急決議

 三位一体改革は地方分権を推進するためのものであり、それを実現するうえで、今まさに、我々都市自治体は地方自治の将来にとっての正念場に直面している。
 本年度を初年度とする「三位一体改革」は、地方交付税の大幅な削減、国庫補助負担金の廃止に伴う本格的な税源移譲の先送りなど、国の財政再建が優先され、地方財政に大きな打撃を与え、都市自治体の予算編成に重大な支障を及ぼした。
 我々都市自治体は、未曾有の財政危機に直面する中、人件費の抑制、事務事業の抜本的な見直しによる歳出削減など、徹底した行財政改革に懸命に取り組んでいる。平成17年度以降もこのような状況が続けば、都市自治体の財政はさらに危機的な事態に陥ることが懸念され、医療、福祉、教育などの住民生活をはじめ、地域経済にも大きな悪影響を及ぼすことが必至である。
 「三位一体改革」は、地方分権の理念に基づき、地方の権限と責任を大幅に拡大することにより、住民に身近なところで政策や税金の使途決定を行い、住民の意向に沿った行政運営を可能とする改革でなければならない。
 先般、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」が閣議決定され、我々の求めている真の三位一体改革の要である税源移譲について、平成18年度までに概ね3兆円規模を目指すことと明記された一方、改革の全体像については秋以降に明らかにすると先送りされた。
 全国市長会は、昨年10月、「税源移譲と国庫補助負担金の廃止・縮減に関する緊急提言」により5兆円規模の税源移譲を求め、さらに本年5月、地方交付税改革を中心とした「真の三位一体改革の推進に関する提言」をまとめ、その考え方を示してきたところである。
 国は、三位一体改革の原点に立ち返り、国の財政再建を優先して地方に負担を押し付けるのではなく、真の地方分権を推進することを基本として、都市の意見を十分反映し、下記事項を実現するよう強く要請する。



1.今後、都市自治体の行財政運営に大きな混乱を招かないためにも、地方財政の見通しを明らかにするとともに、三位一体改革の全体像及び年度別内容・規模などの工程表を早急に提示すること。その際は、都市自治体の意向を十分反映すること。

2.国から地方への税源移譲は、地方の歳出規模と地方税収入の乖離を縮小するという観点に立ち、基幹税による本格的な税源移譲を実施し、税収が安定的で、かつ、税源の偏在性が少ない地方税体系を構築することが必要である。そのため、当面、国税対地方税の割合1対1の実現を目指し、所得税から個人住民税、消費税から地方消費税への本格的税源移譲を直ちに実現すること。

3.国庫補助負担金については、国による統一的な措置が必要なもの等、一部を除き原則廃止すること。その際、同時に基幹税による税源移譲を確実に行うとともに、国の法令等による基準を弾力化するなど国の関与を廃止・縮小し、都市自治体の自由度の拡大が図られるようにすること。
 その際、臨時的かつ巨額の財政負担となる事業については、各都市の財政規模も考慮しつつ、事業執行に支障が生じないよう、平準的な財政運営が可能となるような財政措置を講じること。

4.平成16年度予算において、公共事業関係の国庫補助負担金や奨励的補助金等の削減については、国が一方的に事業量の減によるものであるなどとして、その全額が税源移譲の対象とされなかったが、引き続き地方が実施しなければならない事業もあり、こうした措置は、実質上国の財政再建のための地方への負担転嫁であることから、確実に税源移譲すること。
 また、生活保護費負担金などの補助率の引下げや補助対象の縮減など、一方的な地方への負担転嫁はあってはならないこと。

5.地方交付税については、財源調整・財源保障の両機能を堅持するとともに、投資から経常への需要構造の変化を的確に地方財政計画に反映させ、地方の実態を踏まえ、都市自治体の財政運営に支障が生じないよう、交付税率の引上げを含め、安定的財政運営に必要な一般財源の総額を確実に確保すること。
 その際、都市自治体においては、税源の偏在により、税源移譲額が国庫補助負担金の廃止等に伴い財源措置すべき額に満たない場合があることから、実態を踏まえつつ、地方交付税の算定等を通じて適切に対応すること。

 以上決議する。

  平成16年6月9日

第74回全国市長会議