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介護保険制度の基本的見直しに関する決議

第74回全国市長会議 決議




介護保険制度の基本的見直しに関する決議

 高齢化の進展に伴い、要介護等認定者やサービス量は年々増加し、介護保険制度が発足した平成12年度に3.2兆円であった介護給付費が、5年目に入った今年度には5.5兆円に達することが見込まれており、その規模は拡大する一方である。
 今後、各保険者はますます厳しい財政運営を強いられることが必至であり、介護保険を「第二の国保」としないための対策が急務となっている。
 国の社会保障審議会介護保険部会では、昨年5月以降、法施行後5年を目途とする制度見直しに向けた検討が重ねられているが、本会では、制度の持続的かつ安定的運営の視点に立って、昨年10月に引き続き、本年4月に「介護保険制度の基本的見直しに関する意見」を取りまとめ、関係方面に提出したところである。
 よって、国は、近く予定されている制度見直し案の取りまとめに当たり、本会がこれまで提出した意見を最大限に尊重し、特に下記事項について万全の措置を講じられるよう重ねて要請する。



1.介護給付費負担金については、各保険者に対し給付費の25%を確実に配分し、調整交付金は別枠とするとともに、財政安定化基金の原資については、国及び都道府県の負担とすること。

2.在宅と施設の保険給付については、施設における居住費・食費の徴収範囲の拡大や利用者負担の引上げ等、在宅・施設両サービスの均衡を図る方策を講じること。

3.国が実施している低所得者対策は、保険料及び利用料の軽減策が十分でないことから、国の制度として、財政措置を含めて総合的かつ統一的な対策を講じるよう、抜本的な見直しを行うこと。

4.第1号保険料について、保険料納付の利便性、徴収事務の効率化及び徴収率の向上を図るため、全ての年金を特別徴収の対象とすること。

5.グループホーム及び有料老人ホーム等の特定施設の入所者に対しても住所地特例を適用すること。

6.グループホームや有料老人ホーム等が介護保険事業計画の目標値を超えて急増し、保険財政を圧迫している現状もあることから、都道府県がサービス事業者を指定するに当たり、事前に保険者である市町村と協議する仕組みを確立すること。

7.現時点において、都道府県におけるサービス事業者に対する指導・監督が十分に行われているとは言い難いことから、その機能強化を図るとともに、サービスの質の確保、利用者保護の重要性等にかんがみ、都道府県と同程度の調査権限を保険者にも付与し、都道府県と保険者である市町村とが連携する仕組みを確立すること。

8.軽度要介護者に対する自立支援や重度化の防止に向けた介護予防サービスの提供を積極的に行うことが重要であることから、介護予防サービスの在り方、同サービスに係る人材の確保・育成、事業者のサービス提供体制を含め、より適切なサービスが提供されるよう検討すること。

9.ケアマネジャーの中立性・公平性を更に確保するための方策について、具体的な検討を行うこと。

10.障害者施策との統合については、慎重を期すること。

 以上決議する。

  平成16年6月9日

第74回全国市長会議