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医療保険制度改革に関する決議

第74回全国市長会議 決議




医療保険制度改革に関する決議

 高齢化の進展、高度医療技術の進歩等に伴い、老人医療費を中心とする国民医療費は年々増大する一方、長引く経済の低迷により保険料収入が伸び悩み、各医療保険制度は厳しい財政状況に置かれている。とりわけ、国民健康保険は、制度発足当初に比べ、農林水産業者や自営業者の割合が著しく減少するなど職業構成が大きく変化している上、近年、高齢者は勿論のこと、リストラ等による被用者保険からの加入者や職を持たない若年者が増加している。こうした状況にありながら、医療保険制度の抜本的見直しが全く行われていないため、この約10年間で一般会計から国保特別会計への繰入金は倍増し、今や1兆円近くにのぼっている。
 現在、国の社会保障審議会医療保険部会では、昨年3月に閣議決定された「医療保険制度体系に関する基本方針」を踏まえ、医療保険制度改革の検討が進められているが、本会としても、所管の委員会において、学識経験者の参加を得て集中討議を行い、来春を目途に意見の取りまとめを行うこととしている。
 よって、国は、医療保険制度改革の具体的な検討にあたり、本会の要望・意見等を十分尊重するとともに、下記事項について万全の措置を講じられるよう強く要請する。



1.国保は、被保険者に高齢者が多い上、無職者・低所得者の割合が半数を超えるなど構造的な問題を抱えていることから、被用者保険との制度間を通じた抜本的改革が必要である。本会など国保関係団体は、かねてから「高齢者を含むすべての国民を対象とした医療保険制度への一本化」を主張しているが、基本方針が目指す「医療保険制度の一元化」を一本化への道筋として位置付け、その具体的方策について検討すること。

2.基本方針では、基本的な方向として、被用者保険、国保それぞれについて、都道府県単位を軸とした保険者の再編・統合を進めることとしているが、これを現実のものとするならば、国保財政の基盤強化に結びつく財政措置が必要であると考えられることから、そのための確固たる財源を確保すること。

3.高齢者医療制度については、前期高齢者の「財政調整方式」と後期高齢者の「独立保険方式」が示されているが、前期高齢者については、制度間における高齢者の偏在による医療費負担の不均衡を是正するため、年齢構成に加え、所得にも着目した調整を行う仕組みとするとともに、実態に即して対象者の年齢の範囲を設定すること。
 また、75歳以上の後期高齢者については、社会保険ではなく公費等による運営を国の責任において実施すること。
 なお、現在、国保と介護保険の両保険者として、極めて深刻な財政運営に直面している市町村が、新たな制度の保険者を担うことは、到底困難である。

4.より高率の保険料(税)設定が難しい国保の実情を考慮し、やむを得ず一般会計から国保特別会計へ巨額の繰入れを行っても、なお大きな赤字を計上している実態や都市財政の窮状にかんがみ、平成17年度予算において、危機的状況にある国保制度に対し更なる財政措置を講じること。

 以上決議する。

  平成16年6月9日

第74回全国市長会議