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税源移譲を基軸とした三位一体改革の推進等に関する緊急決議

理事・評議員合同会議決定(H15.11.13)



税源移譲を基軸とした三位一体改革の推進等に関する緊急決議


 都市自治体においては、国の景気対策による減税や公共事業の実施等による巨額の財源不足が連続して生じているうえに、多額の借入金残高を抱えており、極めて厳しい構造的な危機状況にある。
 このような中、都市自治体は創意・工夫を凝らしながら、徹底した行財政改革に積極的に取り組みつつ、多様化する行政課題に的確に対応しているが、我々が目指す分権型社会を実現するために残された最大の課題は、国から地方への基幹税を基本とした税源移譲等による地方税財政基盤の確立である。
 政府の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」では、税源移譲について、実際に移譲される税目や額が明確にされていない。また、国庫補助金については、概ね4兆円程度を目途に廃止・縮減等の改革を行うとされているが、税源移譲の額については、義務的な事業以外は削減額の8割程度とされている。
 全国市長会としては、国庫補助負担金について一部のものを除き原則廃止し、国から地方への基幹税を基本とした税源移譲を早期に実現することを内容とする「税源移譲と国庫補助負担金の廃止・縮減に関する緊急提言」を先般とりまとめたところである。
 平成16年度は、実質的な意味で三位一体の改革の初年度であり、政府においては、地方自治体の意見を十分反映しつつ、その具体化を実現し、地方分権時代に相応しい地方税財政基盤を確立されるよう、下記事項を実現するよう強く要請する。



1.分権型社会の到来に向けて、都市自治体がその責任を果たしていくためには、地方の歳出規模と地方税収入の乖離をできるだけ縮小するという観点に立って、国から地方への基幹税による税源移譲の具体化が重要である。その際、安定した行財政運営を行っていくためには、税収が安定的で、かつ、税源の偏在性が少ない地方税体系を構築する必要がある。
 このため、個人住民税の比例税率化などにより、所得税から個人住民税への移譲を行い、また、消費税の1%分相当額を地方消費税へ移譲するなど、抜本的な地方税制改革を早急に進め、都市税源の充実を図ること。

2.国庫補助負担金については、国による統一的な措置が望まれるもの等、一部の補助金を除き原則廃止すること。その際、地方で引続き実施すべき事業については、所要額に見合う税源移譲を同時に実施し、基幹税の充実を基本に地方財源を確保すること。
 また、国の歳出削減を目的とした、単なる補助率の引下げや補助対象の縮減など、地方への負担転嫁はあってはならないこと。

3.地方交付税については、税源移譲を行うと税源の偏在性から都市間の財政力格差が拡大することが予想されるため、一定の行政水準を確保するには、財源保障と財源調整の二つの機能を一体として果たす地方交付税の役割は重要であることから、引き続き両機能を堅持すること。
 また、巨額の財源不足が生じている状況を踏まえ、交付税率の引上げを含め、都市財政運営に支障が生じることのないよう、万全の措置を講じること。

4.固定資産税については、都市の基幹税目であることからその安定的確保を図ることが重要である。平成15年度においても評価替えにより地価の下落等を反映し、4,000億円を超える減収が見込まれるなど、極めて厳しい財政状況に追い込まれているところであり、商業地等の負担水準の上限については、現行の70%を堅持すること。

 以上決議する。

 平成15年11月13日
全 国 市 長 会