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介護保険制度に関する要望

全国市長会の主張 -要望-H15.6



介護保険制度に関する要望


 介護保険制度の円滑な運営を図るため、国は、次の事項について積極的な措置を講じられたい。

1.財政運営について
    (1) 介護保険財政の健全な運営のため、都市自治体の個々の実態を考慮しつつ、十分かつ適切な支援措置を講じること。
     また、制度変更に伴う財政影響については、国の責任において措置すること。

    (2) 介護給付費負担金を25%とし、調整交付金を別枠とすること。
     また、調整交付金の算定を暦年単位から年度単位とするなど、個々の市町村の執行実績に見合った交付とすること。

    (3) 財政安定化基金の原資については、国及び都道府県の負担とすること。

    (4) 介護保険事務費交付金については、市町村の超過負担が生じているので、実態に見合った所要額を確保すること。
     また、制度変更に伴う電算システムの改修などの経費のほか、給付実績通知書の利用者への送付、保険料未納者対策等介護保険運営の事務経費について、十分な財政措置を講じること。

    (5) 国民健康保険料への介護保険料上乗せにより、収納率が低下することが懸念されることから、国保の運営に支障が生じることのないよう収納率低下に対する十分な財政措置を講じること。
2.低所得者対策等について
    (1) 低所得者に係る国の特別対策については、自己負担の軽減策が十分でないことから、抜本的に検討し、国の制度として、財政措置を含めて総合的統一的な対策を講じること。

    (2) 保険料第1段階における生活保護受給者以外の者及び保険料第2段階において所得の状況等から特に生計が困難と認められる者について、保険料の軽減策の拡充を図るとともに、必要な財政措置を講じること。

    (3) 重度心身障害者については、医療系サービスの必要度が高く、介護保険利用者負担が高額になるため、国の負担により減免措置を講じること。
3.介護サービスの基盤整備について
    (1) 市町村老人保健福祉計画及び市町村介護保険事業計画に基づき、介護サービスが適切に提供できるよう、人材の確保・養成を含めた基盤整備の推進を図るとともに、地方交付税不交付団体を含め十分な財政措置を講じること。

    (2) 高齢者ができるだけ要介護状態にならないようにするために必要な介護予防・地域支え合い事業や生きがい活動に係る諸施策の充実を図るとともに、介護予防拠点整備事業の継続など施設の整備に対する必要な財政措置を講じること。
4.被保険者・第1号保険料について
    (1) 老齢・退職を事由とする年金以外の年金を特別徴収の対象とすること。

    (2) 有料老人ホーム等の特定施設やグループホームの入所者に対して住所地特例を適用すること。

    (3) 第1号保険料については、世帯単位で比較すると所得がより少ない世帯の保険料が高くなる場合もあることなどの現状にかんがみ、より公平な保険料設定について検討すること。

    (4) 年度途中での資格取得や徴収額変更について、速やかに特別徴収ができるようにするなど、特別徴収事務処理の迅速化を図るとともに、被保険者に理解しやすいよう所要の措置を講じること。
5.要介護認定について
    (1) 要介護認定が公平・迅速に行われるよう認定申請、認定調査の効率化を図ること。

    (2) 認定有効期間の原則を現行の6か月から12か月に延長すること。

    (3) 主治医意見書の作成手数料の支払にあたって、居宅・施設入所の別及び新規・継続の別により複雑な確認事務が必要となっているため、その見直しを行うこと。
     また、要介護(支援)認定を30日以内に行えるよう、主治医意見書の迅速な作成を促すべく必要な対策を講じること。
6.保険給付・サービス提供事業者等について
    (1) 在宅と施設の保険給付額について均衡を保つ方策を検討すること。

    (2) グループホームや特定施設入所者生活介護居宅サービス提供施設等を指定する場合は、市町村老人保健福祉計画及び市町村介護保険事業計画との整合性が図られるよう、事前に市町村と協議するなど、指定のあり方について検討すること。

    (3) サービス提供が適正に行われるよう、第三者による評価制度の導入を図るとともに、介護報酬請求が適正に行われるよう、国及び都道府県による事業者等に対する指導を強化すること。
7.その他
    (1) 介護保険制度の見直しにあたっては、地方自治体と十分協議するとともに、具体的なスケジュールを早期に提示すること。
     また、制度変更等にあたっては、速やかに情報提供を行うこと。

    (2) 介護保険制度の財政見通しを踏まえた保険料負担や利用者負担等に関する広報を国民にわかりやすい内容でこれまで以上に積極的に行うこと。

    (3) 養護老人ホームのあり方について所要の検討を行うこと。

    (4) 利用者負担(利用料)について、介護費用控除を創設すること。

 以上要望する。