ページ内を移動するためのリンクです。

介護保険制度に関する要望

全国市長会の主張 要望



介護保険制度に関する要望

 介護保険制度の円滑な実施にあたり、国は、積極的な支援措置を行い、特に次の事項について万全の措置を講じられたい。

    1.財政運営について
      (1) 介護保険財政の健全な運営のために十分な支援措置を講じること。
       また、短期入所に係る特別措置など国の制度変更による財政影響については、国の責任において負担すること。
       なお、財政措置を講じるにあたっては、個々の都市自治体の実態に即した適切な措置を実施するほか、特に地方交付税不交付団体に対しても十分的確な措置を行うこと。
      (2) 国庫負担のうち調整交付金(5%)は、別枠とすること。
       また、財政安定化基金の原資については、国及び都道府県の負担とすること。

    2.介護サービス基盤の整備について
      (1) 市町村老人保健福祉計画及び市町村介護保険事業計画に基づき、介護サービスが適切に提供できるよう、人材の確保・養成を含めて基盤整備の推進を図るとともに、十分な財政措置を行うこと。
       なお、ショートステイ床の特別養護老人ホームへの転換については、地域の実情に応じた対応ができるようにすること。
      (2) 高齢者を中心とした市民の健康増進を図る介護予防及び生活支援、生きがい活動に係る諸施策の充実を図るとともに、介護予防拠点整備事業の継続をはじめ施設の整備に対し、必要な財政措置を講じること。

    3.保険料について
      (1) 介護保険制度の円滑な運営において、財源の安定的確保のため、遺族年金をはじめすべての年金受給者について、特別徴収が可能となるようにすること。
       また、年度途中での資格取得や徴収額変更でも速やかに特別徴収ができるよう社会保険庁の態勢の改善を図ること。
      (2) 今後の高齢化率の上昇や基盤整備の推進などにより高額化が予想される3年後の保険料算定時においても、保険料水準の高騰を招くことのないよう、必要な措置を講じること。

    4.保険給付について
      (1) 現場において混乱が生じないよう、医療保険や他の福祉施策との関係について具体的な運用方法を明らかにし、適正な運用がなされるようにすること。
      (2) 介護保険により提供されるサービスについては、利用者の状況に応じ必要な量が保障されるよう、サービス利用限度額について検討すること。
      (3) 介護サービス事業者の監視、介護サービスの評価、苦情処理について、国・県・市町村の制度上の役割分担を踏まえた体制を整備し、介護サービスの質の確保向上を図ること。
      (4) 良質なサービスの確保向上のため、実態に合った身体介護・家事援助等の適切な実施や介護支援専門員の資質の向上が図られるよう、必要な措置を講じること。
      (5) 国の特別対策による訪問介護、短期入所、通所介護についての利用者負担軽減策を新規利用者も対象とするとともに、その費用は国の負担とすること。
      (6) 利用者の利便性の向上を図るため、訪問通所サービスと短期入所サービスの支給限度額について一本化すること。また、一本化に伴う市町村等のシステム改修については、国において負担するものとすること。

    5.要介護認定について
      (1) 要介護認定が公平・迅速に行われるよう、認定調査員、認定審査会委員及び介護支援専門員等の研修・育成対策を積極的に推進すること。
       また、介護認定審査会の委員報酬については、市町村の設定単価を補助基準額に用いるなど、地域性を加味すること。
      (2) 要介護認定に関する1次判定ソフトを改善し、公平・公正な判断ができる要介護認定制度を確立すること。
       また、痴呆性高齢者等の要介護認定については、早期に見直し、実態に即した統一的な判定基準を作成すること。
      (3) 訪問調査表や認定審査の判定、主治医意見書の内容・提出時期等のルール化を図り、要介護認定の円滑化を図ること。
      (4) 新規認定審査に更新認定審査が加わり、審査件数が増大しているため、認定審査業務の簡素化、効率化を図ること。

    6.低所得者対策について
      (1) 特別対策による低所得者に対する利用者負担の軽減措置、現行福祉制度によるサービス受給者に対する継続的な措置などによる財政負担については、国として十分な措置を行うこと。
      (2) 低所得者についての総合的な対策をこれまでも要請しているが、国の特別対策による自己負担の軽減策が新規認定の低所得者を対象としていないことなどの問題が新たに生じているので、これらを含めて抜本的に検討し、国の制度として、総合的な対策を速やかに講じること。

    7.国保財政への支援について
     介護保険制度の実施に伴い、国民健康保険への介護保険料上乗せによる収納率の低下が強く懸念されることから、国保の運営に支障が生じることのないよう収納率低下に対する十分な財政措置を講じること。

    8.事務処理体制について
      (1) 介護保険制度の施行に伴って必要となる人件費、事務費について、必要な財政措置を行うこと。
       また、制度開始直前における変更及び遅延に起因するソフト開発の遅れ等に伴う報酬請求・支払事務の負担増については、国の責任において適切な財政措置を講じること。
      (2) 支給限度額一本化にかかるシステム改修・開発にあたっては、国民健康保険中央会と保険者等との間で充分協議する場を設け、混乱の再発を防止すること。

    9.その他
      (1) 制度開始後に生じた運営上の諸問題については、保険者である市町村の意見を十分尊重のうえ見直しを検討すること。
      (2) 介護保険制度については、介護保険制度の財政見通しを踏まえた保険料負担、利用者負担等について、これまで以上に積極的な広報を行うとともに、国民にわかりやすい広報を行うこと。
      (3) 指定居宅介護支援事業者等に対して必要な情報が円滑に提供できるようワムネットの利用促進を図ること。
      (4) 要介護認定により自立と判定された者等に対し、従来実施していたサービスを継続して実施することが適当と認められる場合には、介護予防、生活支援、いきがい対策等の観点から、所要の財政支援措置を行うこと。
      (5) 在宅介護支援センターについては、本来の老人福祉法に基づく業務に支障を来さないよう、財政支援措置を行うこと。
      (6) 特別養護老人ホームでは、要介護と認定されない場合でも、5年間は介護保険で給付することとしており、利用料も5年間は減免の特例を設けているが、入所者が医療施設に入院した場合でも、その適用の対象として継続するなど必要な措置を講じること。
      (7) 介護保険施設とならない養護老人ホーム等の施設入所者に対しても、「住所地特例」の適用をすること。
       また、養護老人ホームの在り方について所要の検討を行うこと。
      (8) 介護保険サービス指定事業者の指定にあたっては、都道府県と保険者である市町村と事前協議を行うなど適切な措置を講じること。
      (9) 介護保険制度の円滑な運営を図る観点から、介護休暇に係る休暇期間を延長すること。
      (10) 重度心身障害者については、訪問介護のみならず、利用者負担の軽減を講じるとともに、その費用は国の負担とすること。
      (11) 居宅介護サービス事業所等が徴収する診断書については、徴収の際の基準を明確にするとともに、主治医意見書の活用など、被保険者の負担とならないようにすること。

     以上要望する。