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第3章 ごみの有料化の導入・促進

第3章 ごみの有料化の導入・促進

1.有料化の必要性と今後の方向
資源循環型社会には、環境負荷をできるかぎり抑制する仕組みが組み込まれていなければならない。そこで、ごみの発生・排出抑制や再生エネルギー利用の促進に寄与するルールとして有効な経済的手法を積極的に活用していくことが必要である。また、都市自治体においては、市民・事業者を廃棄物管理における責任主体と位置づけることが要請され、そのためにも、経済的手法の一つである「ごみの有料化」の必要性を再確認し、その導入・促進を図ることが求められる。


(1)経済的手法の活用
 我々がめざすべき資源循環型社会とは、物質やエネルギーを循環させる際に、環境負荷をできる限り抑制する仕組みが組み込まれている社会である。その仕組みを創るためには、生産・流通、消費、廃棄の各段階において、廃棄物の発生及び排出を可能な限り抑制する観点から、環境に与える負荷を製品コストに反映させることが必要である。このことは、資源循環を円滑にすることにも寄与するものである。
 また、その一方で、こうした資源循環型社会の構築を図るためには、立法や規制権限を軸に廃棄物政策を進めることが重要であることはいうまでもない。しかし、時間と労力を必要とすることから、どうしても中長期的視野のもとで実現をめざすものとして位置づけざるを得ない。
昨今のリサイクル関連法の制定の動きや、ごみの有料化を導入する都市自治体の増加などにみられるように、ごみ減量のための速効性を有する施策として、経済的手法の活用が有効であるとの認識が強まっている。そこで、廃棄物の発生・排出を抑制し、リサイクルルートの維持や開拓のためには、製品に対する課徴金などにより環境への負荷を生産・消費者に負担させる、いわゆるコストの内部化などの経済的手法を積極的に活用していくべきである。

(2)責任主体としての市民・事業者
 今日、ごみ処理の責任は、都市自治体にあると認識され、処理費用も都市自治体によって税金で負担されている場合が一般的である。しかしながら、汚染者負担の原則(PPP)や拡大生産者責任(EPR)を持ち出すまでもなく、廃棄物を管理する責任は、第一義的に発生者・排出者たる市民・事業者であり、市民・事業者が基本的には責任主体である(図5「主体関係と有料化の効果」参照)。なお、事業者には、現在の廃掃法によっても自己処理責任が明確に規定されている。都市自治体は、そうした市民・事業者から付託を受け、適正にごみ処理を行う事業主体であるといってよい。
こうした責任主体の明確化は、処理費用の負担の原則を示唆する。すなわち、あくまでも責任主体(市民・事業者)が費用を負担することとなる。ここで重要なことは、負担の方法であり、税とするか手数料とするのかであるが、ごみの有料化は、都市自治体が「ごみ処理」という行政サービスを提供する際に、負担の公平の原則に立って、受益者たる市民等に応分の負担を求めるものである。いずれにしても、市民・事業者の選択が尊重されるものであることは言うまでもない。
また、このように市民・事業者を廃棄物管理の責任主体ととらえることは、自己処理・集団回収・自己回収に積極的に取組む状況を作り出すものとして機能する。ごみ処理の有料化を導入することは、こうしたごみの減量化・資源化を一段と促進するものであろう。
さらに、自己責任・自己決定を原則とする分権型社会において、市民はカスタマー(顧客)ではなく、行政を支えるパーティシパント(参加者)として、または都市社会を構成する主体として、その責任に見合った行動をとることが望まれる。

(3)有料化の今後の方向
 経済的手法として最も有効なものは、川上の製品製造等に課する「製品課徴金」などの導入であるが、未だ議論の段階にあり、具体的手法の選択等は今後の課題となっている。そこで、課徴金の一種であるごみの有料化の導入・拡大は、廃棄物政策において経済的手法を活用していくうえでのベースになると考えられる。なぜならば、ごみの有料化の導入は、消費者たる市民のごみに対する意識を変えることを通じて、事業者、いわゆる川上に対して、リサイクル可能な製品製造などの発生・排出抑制のインパクトとインセンティブを与えていくことができるからである。
 また、都市自治体によるごみの有料化の促進は、ごみ処理費用を製品・サービスに転嫁するという認識の定着を進めることになろう。これに伴い、経済的手法の拡大・導入が進むことによって、ごみ処理は主に自治体が行うという現在の枠組みや認識に変化を与え、ひいては、PPPやEPRに基づく廃棄物処理や資源循環のための市場システムの構築を早めることが期待できる。この目的達成のために、排出者たる市民のコスト意識に直接働きかけることができる手段として、ごみの有料化は有効なのである。


2.有料化の現状と課題
 環境保全や市民の健康への影響を最小限にするため、自治体のごみ処理経費が上昇している状況にあって、ごみの有料化は、ごみの減量化・資源化の促進に有効な手段の一つととらえられている。確かに、ごみ処理経費を税金のみによって賄うのではなく、あえて、眼に見える形で住民に負担を求めようとする動きは普及しつつある。また、ごみの有料化の導入により、消費者にごみの出やすい製品の購入を避けるような行動を生じさせるなど、ごみに関する市民等の意識や生活習慣を変えていくことが望まれる。したがって、都市自治体においては、有料化の導入はもとより、効果的に導入を行う仕組みづくりが重要である。

(1)有料化の現状
ここ数年、一般廃棄物の排出量が横ばい状況にある中、ダイオキシン類対策など廃棄物処理における環境負荷を最小限にするため、自治体の廃棄物処理経費は増加の傾向にある。また、その一方では、自治体における分別収集の拡充や住民団体等の集団回収への積極的参加に伴って、年々資源化等の中間処理量が増加しており、リサイクルは着実に促進されている。
このような状況にあって、さらなる廃棄物の減量化・資源化の促進を図るため、自治体ではごみの有料化を導入する動きが目立ってきている。日本都市センターによる都市アンケート調査(平成9年8月実施)によれば、家庭系ごみの有料化は、35%の都市で実施されており、実施していない都市の半数が、導入を検討している結果となっている。さらに、市町村の一部を対象とした「ごみの有料化に関する全国調査報告書(平成10年3月:(社)全国都市清掃会議)」(以下「全都清調査」という)によると、家庭系一般ごみ有料化の導入開始時期は、平成元年以降では平成6年から9年に集中している状況となっている。これらのことから、近年、自治体では有料化の導入・促進の気運が高まっているということができよう。
有料化の手法については、都市アンケート調査結果から、家庭系一般ごみの有料化を実施している都市自治体では、従量制を採用している都市が多いことがわかっている。また、平成10年度に行った日本都市センターによる補足調査(「資料編」参照)によれば、家庭系一般ごみの有料化を実施している都市のうち約6割が指定袋制を基本とする手法を採用しており、そのうちの8割の都市が2種類以上の指定袋によりごみの有料化を実施している。従量制は、ごみ減量化等へのインセンティブが高い手法であるが、「指定袋制」を選択している都市自治体が多いことは、次の点によると考えられる。
第一に、ごみの種類や排出量に応じた対応がとりやすく、ごみの分別・資源化の促進に大いに寄与すること、第二に、従来からごみ排出には袋を使用していることから、市民に受け入れられやすいこと、第三に、袋の持つ性状が、収集・処分時の危険ごみ搬入の防止につながるとともに、ごみ排出場所の美観を向上させることなどがあげられよう。

(2)有料化の導入によるごみの減量効果
有料化を実施する際に特に注目されることは、導入目的の一つでもある減量効果であろう。都市アンケート調査においても、約7割の都市が減量効果を意図して家庭系ごみの処理を有料化している。
また、減量効果に関する全国的傾向については、全都清調査によると、家庭系一般ごみの有料化実施1年後に、10~30%のごみ量の削減となった自治体が最も多い結果となっている。
そこで、平成8年4月1日より、家庭系ごみの有料化を導入したG市における減量効果の状況をみることにする。G市のごみ事情は、最終処分場がないうえに焼却施設が老朽化しており、ごみ処理環境が大変厳しい状況にあったことから、既に平成4年から資源ごみの分別収集に取り組んでいた。
G市の有料化に伴うごみ減量の実績について、可燃・不燃・資源ごみを合わせたごみ総量で見ると、平成7年度と8年度及び9年度の比較では、それぞれ15.1%、13.6%の減量となっている。一方、資源化量は、平成7年度と8年度の比較では20.6%の増加、平成7年度と9年度の比較では36.6%の増加となっており、これを資源化率で見ると、平成7年度の19%に対し、平成9年度には27%となっている。有料化の実施後、通常では可燃・不燃ごみがリサイクルに流れ、ごみ総排出量が減少に転じることは難しいとされている。G市では、ごみの資源化を積極的に展開していることを背景に、有料化を効果的に導入した結果、平成8年度実績では1割を越えるごみ減量を達成している。
これらのことから、ごみの有料化は、その導入により市民の生活習慣に変化を生じさせる効果があり、ごみの減量化・資源化に有効な手段の一つとして位置づけることができよう。


〔家庭系一般ごみ有料化の導入事例〕
*H市*

 H市では、平成10年10月から家庭系一般ごみの収集に「有料指定袋」を採用することになった。有料指定袋は3種類(10リットル、20リットル、40リットル)で、可燃、不燃の両方で導入している。料金は、収集・運搬費をもとに算定している。今回の有料指定袋の導入とともに、それまで、あらかじめ道路上に設置したダストボックスでの収集を廃止して、戸別収集方式へと切り替えた。一方で、ビン、缶、ペットボトル、新聞、雑誌などの資源ごみは無料化し、資源化を進めればごみ量が減り、収集料金が安く済むようにしている。


*I市*

 I市では、平成10年7月より家庭系一般ごみの収集に「有料指定袋」を採用することになった。同市の指定袋は2種類で、大(45リットル)、小(30リットル)となっている。同市は、政令指定都市で最初の「有料指定袋」を採用する都市となった。なお、有料化を実施するにあたっては、職員2,500名を動員し、市民に対する説明会を実施している。



(3)有料化導入の課題
 このように、ごみの有料化は、確実にごみの減量効果をもたらす。また、民間のリサイクル活動、自己回収が促進され、資源化効果も大きいことから、今後、ごみの有料化は一般的な経済的手法の一つとなっていくことは疑いのないところである。
 しかし、いくつかの課題を指摘することができる。
第一には、有料化の導入に際し、ごみ処理経費に対してどれだけの割合のコスト負担を市民・事業者へ求めるべきかということである。家庭系一般ごみでは、有料化を実施している自治体の約半数が処理コストの2割以下の負担としている。一方の事業系ごみにおけるコスト負担の割合は、家庭系一般ごみ及び粗大ごみの場合よりも高い状況にある。しかしながら、事業者には廃掃法において明確な自己処理責任があることから、事業系ごみにおけるコスト負担は、十分ではないとの指摘がある。
第二には、H市の事例のように、積極的な資源化ルートの拡充も合わせて行うことなど、ごみの有料化が決してサービスの後退ではなく、市民にとって利益があることを可能な限り示すべきである。そのためには、今後の都市自治体の廃棄物政策において、ごみの排出段階における減量化・資源化の経済的動機づけとして有料化を導入することはもとより、有料化による諸目的を効果的に実現し、最終的には社会全体としてのごみ処理経費が減るような仕組みづくりに重点を置く必要がある。


3.有料化の導入・促進のために
都市自治体の廃棄物政策において、「ごみの減量化・資源化」、「ごみ処理コストの負担意識の定着・高揚」の目的を達成するためには、ごみの有料化の導入・促進が必要である。そのためには、処理費用を含めたごみに関する情報を市民に対して積極的に提供し、ごみ処理費用の負担のあり方について、十分に議論される環境整備が不可欠である。加えて、各地域のごみ処理事情やこれまでの取り組みに即して、ごみの有料化の目的を効率的かつ効果的に達成できるよう、独自の政策展開が必要である。

 有料化の導入・促進のための政策展開において、市民・事業者・行政における議論と理解を深めるため、都市自治体が具体的な行動を起こす際の留意すべき視点をいくつか提示したい。

(1)有料化への市民合意形成
有料化の導入・促進には、市民等の理解と合意を得ることが重要かつ基本的課題であることから、導入過程の各段階において積極的に合意を形成するために、次のような行動をとることが重要である。
第一には、市民と住民の代表である議員を交えた市民委員会を設置し、ごみの有料化導入の目的やその手法等について、時間をかけて議論を行うことが必要である。これは、行政のみによって政策形成や決定を行うのではなく、市民を主体とした意思決定の仕組みを確保することにより、有料化についての地域の合意を得て、その促進をめざすものである。
第二には、地域コミュニティ(自治会・町内会等)に対して、有料化制度の浸透と協力を得るため、現地説明会や公聴会等の開催が必要である。その際には、有料化制度の説明に加えて、詰め替え商品の購入などの市民負担を軽減する具体的実例を示して、話をすることが大切である。また、地域のごみ事情について理解を得るには、行政が保有しているごみ処理等に関する情報を積極的に公開、提供していくことが望まれる。
 第三には、テレビ・新聞・雑誌・市の広報紙などの広報媒体を積極的に活用し、多くの市民のごみに対する意識を高めることである。例えば、ペットボトルを素材としてTシャツや防災用毛布を作り、その展示や配布などにより、市民にPRすることなども考えられる。
 第四には、ごみ問題に関する市民意識の高揚を図るとともに、分別収集の導入とリサイクル(資源化)の促進によるごみ減量の実績の積み上げなど、段階を踏んだ上で、有料化を導入することによって、市民等の理解を得ていくことが求められる。
 最後に、有料化に対する市民の共感と参加を得るため、有料化等による収入を再度市民に還元する仕組みを併せて導入するなどの工夫が必要である。


 〔ごみの有料化による収入の還元の事例〕
*J市(リサイクル推進基金の創設)*

J市では、平成10年8月1日より家庭系粗大ごみの有料化を実施したが、同時に有料化に伴う収入の2分の1程度を積み立てるために、「リサイクル推進基金条例」による基金を創設した。市民・事業者のリサイクル活動への支援等を行うことを目的としたこの基金は、肥料化容器の購入や資源回収にかかる費用に対する補助を内容とするリサイクル活動支援、ポスターやパンフレットの作成によるリサイクル活動啓発ための事業に活用される。


*K市(資源ごみの売却益の還元)*

K市では、従来から住民の協力のもとに分別収集の推進・徹底を行ってきたが、さらなるごみの減量化を図るため、家庭系一般ごみの有料化を平成8年4月1日より導入した。そして、同市では、有料化への市民等の理解を促進するための施策のひとつとして、無料収集した資源ごみの売却益の2分の1を自治会に還元している。なお、K市における自治会加入率は、約70%の状況にある。


(2)有料化を効果的に行うための必要条件
有料化については、もはや必要性の議論を行うだけではなく、いかに適切に導入するか、また、有料化を効果的に行うための仕組みをどのように構築したらよいかということが、今や最大の課題となっている。そこで、以下にあげる項目を考慮し、その仕組みを構築していくことが重要である。

 1)有料化の目的・意義の明確化
 有料化導入に対する住民の理解を得るには、ごみ減量化を図るために有料化を選択する等、その目的を明確にすることが必要である。有料化の目的を整理すると、①ごみの減量化(有料化による市民等の意識の高揚によって、ごみの減量化をめざす)、②ごみ分別の徹底(ごみ問題に関心の低い市民等が各自のごみのリサイクルを意識することによって、ごみの分別が徹底される)、③負担の公平化(ごみを大量に排出する場合とリサイクルを熱心に行い少量のごみを排出する場合の負担の不公平が是正される)、④資源化の促進(有料化を実施する際に資源化品目の拡大及び無料化により、ごみ資源化率の向上が実現する)などがあげられる。

 2)有料化手法の選択
 市民等に受け入れやすい有料化の手法の選択や工夫が必要であり、原則的には、負担の公平性やごみの減量効果の観点から、「従量制」で「指定袋制」を選択することが望ましい。ここでは、「指定袋制」を前提として、有料化の手法の主要な留意点をあげておきたい。

 ①指定袋制の導入
 市民等にコスト意識を持ってもらうため、指定袋の1枚目から有料とすることが望ましい。また、1人暮らしの高齢者や学生等など世帯構成により1回のごみ排出は異なることから、指定袋の大きさは複数あった方がよい。ただし、細分化することによる製造・流通コストの増加等を考慮する必要がある。
 指定袋の流通におけるコストの削減に向けて、工夫が必要である。例えば、袋メーカーから販売店へ直接配達をすることなどの例がある。これは、販売店の在庫の負担を軽減するための工夫でもあるが、すべての地域に通用するものではなく、地域が非常に狭いことや市内に袋の製造工場があることなどの条件が必要となる。
指定袋(半透明)の導入は、小型ガスボンベ等の収集・処理における事故の発生の抑制や安全確保にもつながる。
 ②有料化の実施による市民負担を極力軽減する方策の検討
 無料で収集する品目(リサイクルの受け皿を多数用意)の指定により、さらに資源化を促進させ、ごみの減量化を図る。
 また、もとより、単純な排出方法であればあるほど、市民等の参加を得やすいことから、排出方法の簡便化を図る。例えば、リサイクル品等は、スーパーのレジ袋(再利用)でステーション収集することなどである。

 ③ごみの組成分析により資源化方策の検討
ごみの組成分析を行うことにより、資源として分別または堆肥化などを効率よく実施することができる。また、有料化の実施後に再度組成分析を行うことは、実施効果の検証とその後の対策に大いに寄与する。

 ④事業系のごみへの対応と有料化の導入手順
 事業系のごみが家庭系のごみステーションに流れる傾向が見られ、事業系ごみが減り、家庭系ごみが増加している傾向がある。事業系のごみについては、自己処理責任の原則により、適正な処理手数料を徴収するべきである。
 なお、有料化の導入手順は、事業系ごみ→家庭系粗大ごみ→家庭系一般ごみと進めることが市民の理解を得やすい。

 3)有料化によるごみ減量効果持続のための対応
有料化によるごみ減量効果を維持するためには、分別の徹底(資源化の促進・混合収集を分別収集へ)等のほか、市民等の関心を維持するための施策が必要である。そのためには、①毎年新しい事業を展開することにより、ごみ問題は未だ終わっていない等の意識啓発、②広報紙等を利用して、減量実績やリサイクルの進捗状況についての市民等への定期的報告、③条例に基づく廃棄物減量推進員などの設置による、ごみの分別状況と指定袋による排出であるかのチェックや不法投棄の通報など、が検討されるべきであろう。

 4)隣接自治体への配慮
有料化の実施により、市町村の境界ごみが問題となる場合がある。基本的には、境界の住民同士の話し合いによって、お互いにルールを守ることが必要となるが、都市自治体としては、違反ごみに関する対策(例えば、有料化を実施している都市自治体の責任によりすぐ収集するという事前の協議等)を用意することが重要である。

(3)有料化における価格設定根拠の明確化
有料化に対する市民等の理解を得るためには、協力を得られやすい価格の設定とその算定根拠の明確化が必要である。
そこで、都市自治体が、有料化導入に際して、価格設定の根拠を明確にするという、市民に対する説明責任を果たすためには、次のことが必要になる。
第一には、ごみ処理原価を正しく把握することである。そのためには、都市自治体において、廃棄物の発生・排出抑制から処理・処分の流れを管理していく必要性の観点から、発生抑制とリサイクルに係る経費や収集ルート及び処理ルートの整備・維持に必要な経費も、ごみ処理原価へ参入することが望まれる。
第二には、ごみ処理の原価計算手法について、全国的に統一を図ることである。原価計算手法の統一により、各々の都市自治体及びその市民が他の自治体と比較することが可能となり、廃棄物に関する政策の選択と政策展開にあたって、有意義な検討材料を得ることが期待できるからである。