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はじめに

新時代の都市政策

はじめに

 都市は、誰のために、なぜ存在しているのか。この問いへの回答は多様であろう。しかし、少なくとも人がさまざまに生きる場として大きな存在価値を有していることはまちがいない。時代は集団・均質化から個人・個性化へと変化し、最低限の生存条件の確保は当然として、さらに文化活動等多方面の精神生活の充実を求めるように変化してきた。人は自らの価値観に従いつつ、多彩な交流のなかで自らの生きがいの実現を目指し、いきいきと息づく場を求めている。都市こそが、これにこたえるに最もふさわしい存在である。
都市は、地域的な広がりのなかに存在している。周辺地域を含む圏域の中心として、質の高い財とサービスの供給拠点として機能している。その広がりは、交通網の整備等に伴う日常生活圏の広がりとともに拡大し、今や全国ほとんどの地域がいずれかの都市圏域に属するとみられるに至った。
21世紀は都市の時代」といわれる。これから都市の存在の重みは一層増してくるであろう。都市自治体は、周辺環境の急激な変化に応じつつ、山積する課題に対応していかなければならない。全国各都市は、21世紀を目前に、その責務の大きさを痛感しているところである。
このような時、全国市長会は創立100周年を迎える。この大きな節目の年を記念して、おおよそ2010年頃の21世紀初頭を想定しつつ、都市自治をとりまく環境変化と当面する政策課題への認識を明らかにするとともに、これらへの対応の基本的な方向を取りまとめることとした。この「新時代の都市政策」はその結果であり、これはこれからの都市自治運営に向けての都市自治体としての考え方を表明するものであるとともに、国民、国等に対し理解を求めるものでもある。
本書がより望ましい国民生活の実現のために、ますます重要な役割を担うべき都市自治の一層の発展に寄与することを願うものである。
 
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