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3.介護保険制度に関する決議

○「平成10年度 国の施策及び予算に関する決議要望」 平成9年11月13日(理事・評議員合同会議決定)




3.介護保険制度に関する決議

 
 高齢社会においては、 介護の問題は避けて通ることができない。 そのため、 本会は、 介護保険制度の円滑な運営のために必要と考えられる条件整備について、 実務担当者の協議・検討を経ながら、 これまで数次にわたって意見を申し述べてきた。 これに対し、 厚生省は回答を寄せるとともに、 対処方針、 準備作業スケジュール等を示しているが、 なお依然として不安な面がある。
 よって、 国におかれては、 これまで本会が提出した意見等について、 さらに必要な措置を講ずるとともに、 特に下記事項について万全の措置を講ずるよう要請する。
 なお、 医療保険制度の抜本的改革をめぐる論議において介護保険制度との関連についても言及されているが、 いずれも重要な問題であり、 影響するところが大きいと考えられるので、 これらについては、 それぞれ具体的な内容等を明らかにしつつ、 十分慎重に検討する必要がある。
 

 
1. 介護サービス基盤の整備等について
 (1) 介護保険制度の円滑な運営のためには、 介護サービスの供給体制の整備が不可欠である。 そのため、 介護保険制度の導入に伴う需要増を見越した上、 介護サービス基盤の整備について、 さらに必要な財政措置等を講ずること。
 (2) 国は、 現在の特別養護老人ホーム入所者のうち継続入所が不要と判断された者の退所等の問題を取り上げているが、 退所者の中には、 帰宅することが難しく、 ケアハウス等の施設に移らざるを得ない者もあることを勘案し、 その受け皿となる施設の整備についても必要な措置を講ずること。
 (3) 介護保険制度の導入に伴い、 民間による介護供給体制の整備が必要と考えられるが、 その着実な体制づくりのため、 施設経営の実情も考慮しつつ、 介護報酬の単価や支給方法等、 運営に関する基本的な事項の具体的内容について早急に明らかにすること。
 
2. 財政運営について
 (1) 介護保険財政の健全な運営を確保するため、 介護保険料の賦課・徴収が適切に行われるよう関係法令の改正を含めた検討を行うとともに、 介護保険制度の実施に伴う市町村の負担に対し必要な財源措置を講ずること。
 (2) 認定された要介護度に応じた介護サービスが国の定める支給限度額の範囲内で供給できない場合、 保険者である市町村において、 いわゆる 「超過負担」 的な負担が生ずるおそれがある。 このような事態を避けるためにも、 実態調査等を踏まえ、 実状に即した支給限度額を設定すること。
 
3. 要介護認定について
 要介護認定が公平・迅速に行われるよう、 国において、 要介護認定マニュアルを速やかに作成し市町村における認定実務への習熟を図るとともに、 要介護判定事務等に携わる介護支援専門員 (ケアマネージャー) の育成対策を積極的に推進すること。
 また、 要介護認定に係る不服や介護サービスの供給内容についての苦情等に対する適切な処理体制を確立すること。
 
4. 事務処理体制について
 介護保険制度の導入のためには、 市町村は、 要介護認定の事前準備、 被保険者のデータ管理、 年金からの特別徴収に係る準備作業など膨大な事務を処理しなければならない。 しかもその期間は極めて限られたものである。 国においては、 早期にその内容と必要な情報を明らかにするとともに、 市町村が効率的な事務処理体制を構築できるよう、 当該事務に要する人員・事務経費の確保について、 必要な措置を講ずること。
 
 以上決議する。
 
  平成9年11月13日
 

全 国 市 長 会