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第30代全国市長会 会長 立谷秀清(相馬市長)就任挨拶

 全国市長会 会長
  相馬市長 立谷 秀清

全員の想いを結集し、住民福祉の向上を目指す
  
この度の大阪北部地震、西日本豪雨により、多くの尊い生命が失われ、多くの住民の方々が被災されました。亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被災された皆さまにお見舞いを申し上げます。
  今被災地では、私どもの仲間の市長さんたちが、住民の生命、安全を守るため、さらに地域の復旧、復興に向け懸命に陣頭指揮を執られています。それぞれの市長さんに深甚なる敬意を表します。全国市長会といたしましてもできる限りの支援を行ってまいりますので、どうか強い気持ちで災害対応に当たっていただきたいと存じます。
  さて、6月6日に開催された、第88回全国市長会議で第30代全国市長会会長に選任いただきました。都市自治体を取り巻くさまざまな課題の解決、そして、住民福祉向上のため、これまで以上に努力を重ねる覚悟ですので、皆さま方のお力添えを賜りますようお願いいたします。


日本最大・最強の政策集団として
  地方分権改革推進委員会の「地方分権改革推進にあたっての基本的な考え方」(平成19年5月)、「第1次勧告〜生活者の視点に立つ『地方政府』の確立〜」(平成20年5月)で『地方政府』という概念が示されました。その中で「中央政府と地方政府が対等・協力の関係」であること、「住民に身近な行政は基礎自治体の裁量と責任で実施する」という「基礎自治体優先」であること等が示されたことで、私どもの「地方政府」の長としての自覚と責務がこれまで以上に強固になったものと考えています。「地方政府」は住民に最も身近な行政機関であり、直接触れ合い、生命はもとより生活の安全や健康を守るべき存在です。この国の行政の一番の責任を持っているのが、私ども地方政府の長であると言っても過言ではありません。その大きな責任を持つ814名が結集する全国市長会には「国の言うことを聞く」、「国にお願いする」ではなく、「国と一緒になって地方の為の政策を作り上げていく」という責務が課せられていると考えます。そのような自覚のもと、814名それぞれの住民福祉への熱い想いを結集することにより、全国市長会は日本最大にして最強の政策集団となり、社会を動かす大きな力となるものと確信しております。

主張すべきは主張する
  それぞれの基礎自治体が財政基盤や地域の将来展望を強く意識しながら、事務事業の見直しをはじめ、職員数の削減、独自の給与カット等、不断の行財政改革を地域住民の協力を得ながら断行しています。そうして健全な自治体経営を維持しながら、災害等の不測の事態や将来に備えるため財政調整基金等を積み立てています。残念なことに、昨今「地方の基金残高が増加しているので、地方財政には余裕がある」という論調が散見されます。基礎自治体が何のために基金を蓄えているのか、また、蓄えるための努力を全く理解せず、数字だけを眺めただけの主張には、断固反論してまいります。
  また、国が進めようとしている「幼児教育・保育の無償化」に関しても、実際に実務を担当する基礎自治体の考えを反映させなければなりません。
  会長就任後、副会長とともに官邸等に伺った際、「子ども・子育てに関する決議」に基づき、「幼児教育・保育の無償化」の進め方に関して、実務を担当する私ども基礎自治体に大きな負担が生じる制度設計や、財源が不透明なままでは受け入れることができない旨を強く申し入れました。また、去る7月10日には「子どもたちのための無償化実現に向けた全国市長会緊急フォーラム」を開催し、その席でとりまとめた「緊急アピール」を翌日の理事・評議員合同会議で「緊急決議」といたしました。今後とも、私どもの声が反映され、より良い制度となるよう国に強く求めてまいります。
  また先日、第32次地方制度調査会が発足し、私も委員として参画することとなりました。地方政府の長としての立場から現場の意見を述べ、単なる理想論、机上論で終わることのないよう、しっかりと取り組んでまいります。

全国市長会のつながりによる災害対応
  地方政府の長である私どもは、災害が発生すれば、被災住民の惨禍に直面し、正面に立ってひとつひとつの事例に対策を講じながら、災害対策の指揮を執らなければなりません。全責任を担う首長には、大きな重圧がかかります。このようなときこそ、全国市長会のつながりが力を発揮します。
  大阪北部地震では近畿市長会が、また、被害が広範囲に及んだ西日本豪雨ではそれぞれの支部市長会が中心となり被災した自治体への支援に当たりました。これまでの災害対応での経験の積み重ね、加えて、全国市長会の連携により、迅速に効果的な対応ができたものと考えています。
  今後、南海トラフ地震や首都直下型地震の発生が予測され、また、近年各種災害が頻繁に発生しています。それらを踏まえ、全国市長会に「防災対策特別委員会」を設置し、広く防災に関する調査研究を行い、災害発生時に緊密に連携のとれた自治体間の支援体制の構築について検討することといたしました。これまでの経験、知恵を集め出来る限りの備えをしてまいりたいと考えております。

英知を結集しよりよい地域づくり
  前述のとおり、全国市長会は日本最大・最強の政策集団であり、人材の宝庫です。皆さんのお考え、要望を伺いながら、さらには力を結集し、地方の将来や子どもたちの未来のためのよりよい地域づくりに向け職責を果たしてまいる所存であります。皆さんのご理解とご協力をお願いいたします。


(市政  2018年8月号より)