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中心市街地再生のためのまちづくりのあり方に関する研究報告書-国土交通省アドバイザリー会議(平成17年8月10日)


 国土交通省は、8月10日、有識者会議(山出会長がメンバーとして参加)においてとりまとめた、「中心市街地再生のためのまちづくりのあり方について[アドバイザリー会議報告書]」を発表した。
 主な内容は、中心市街地の現状分析から、その衰退及び再生を阻害する要因を分析し、併せて現行の中心市街地活性化策の分析を行って、今後の政策転換の方向性を示したものとなっている。
 これら分析結果を総括し、中心市街地再生の方向性として、①多くの都市が無秩序散在型都市構造へ向かう流れにブレーキをかける一方で、街中居住等都市機能の誘導・集約化により、中心市街地自体の振興を図る必要があること、②都市圏における各都市の役割や集積のポテンシャルに応じて、多くの人にとって暮らしやすい都市構造の実現という観点から、どこに広域的都市機能を立地誘導するべきか、が適正に判断される必要があること、③「選択と集中」の観点から、明確な政策目標を持ち、効果的な施策の実施に積極的に取り組む市町村や、住民や地権者も巻き込みながら「やる気と責任」をもってまちづくりに取り組む主体に対して積極的な支援を行うべきであることとした。
 中心市街地の振興方策として、①中心市街地の活力の源泉である、居住人口の増加を図る方策の充実、強化、②公共公益施設の中心市街地への立地誘導、公共交通機関の利便性向上、交流促進のための広場、賑わいの拠点となる施設等の拡充・強化、③地権者を巻き込んで空き地・空き店舗を有効に活用する方策の必要性、④まちづくり事業を行う民間組織に対し、事業を立ち上げる際の資金調達支援や税制上の優遇措置の検討が示された。
 また、広域的な都市機能の中で、近年特に問題とされているのが、大規模商業施設等の集客施設、拠点的総合病院等の公共公益施設の郊外への立地であることから、これらの都市機能の適正立地の方策として、① 大規模商業施設の立地に対して、都市計画法上の用途地域変更等の手続きで一定の規制を行い、かつ住民参加等、幅広い意見の吸い上げと都道府県知事の同意等を通じて、広域的な観点から適正立地を確保すること、② 公共公益施設がどこでも立地できる制度を見直し、立地に際して適切な判断がなされる仕組みとすること、③都市計画法の現行制度上の問題点を改善する必要があること、④ イニシアチブを官が独占しないために、民間からの提案制度を充実することとしている。
 同省は今後さらに具体案をとりまとめ、来年度予算概算要求へ反映させるほか、来年の通常国会に提出予定の都市計画法改正案に盛り込む方針である。
 なお、同様のテーマとして今後の中心市街地活性化策の方向性が、経済産業省の産業構造審議会流通部会・中小企業政策審議会商業部会の合同会議でも審議されており、8月下旬から9月頃にかけて中間取りまとめが示される予定である。