全国市長会の主張 -要望-H16.11



廃棄物対策に関する要望


 廃棄物対策の充実強化を図るため、国は、次の事項について積極的な措置を講じられたい。          

1.廃棄物処理施設等について       
    (1) 廃棄物処理施設について、地方の実態に即した整備が行われるよう財政措置の拡充を図ること。
     特に、焼却灰溶融化施設の整備について十分な財政措置を講じること。
     また、既に着手している廃棄物処理施設整備事業については、円滑な事業が行えるよう、特別な経過的財政措置を講じること。

    (2) 廃棄物焼却施設の解体撤去工事費について、跡地が廃棄物処理施設以外に利用される場合も含め、更なる財政措置を講じること。
     また、解体撤去に伴うダイオキシン類の濃度の測定、汚染物質の除去及び拡散防止対策などダイオキシン類ばく露防止対策について、適切な財政措置を講じること。
     なお、既存施設においても、同様に適切な措置を講じること。

    (3) 廃棄物の適正処理とごみの減量化・資源化の視点に立って、廃棄物処理施設及びその周辺の計画的な整備を図るため、必要な財政措置を講じること。

    (4) ごみ処理広域化計画に基づく廃棄物処理施設整備について財政措置を拡充するとともに、広域化に伴う施設廃止等に対し国庫補助金の返還免除、地方債繰上償還猶予など特例措置を講じること。

    (5) 循環型社会の構築に向け、リサイクル施設の整備・運営に対する財政措置を講じること。

    (6)廃棄物処理施設の必要性や安全性に関し、国民の理解が得られるよう啓発活動を行うとともに、処理基準を明確に示すこと。
2.総合的な廃棄物政策について
    (1) スプレー缶及び使用済み携帯用小型カセットボンベ容器など処理が困難な製品の回収・処理を事業者に義務付けること。

    (2) 廃棄物の不法投棄に対する取締り及び罰則の更なる強化を図ること。

    (3) グリーン購入の促進に向けた市民に対する普及啓発活動について、財政措置を講じること。

    (4) リサイクルしやすい製品を開発・販売している事業者に対し、税制等の優遇措置を講じるなど、リサイクルしやすい製品の普及を促進すること。
     また、国民に対し、環境への負担が少ない製品に関する情報提供及び購入促進の啓発活動に努めること。

    (5) プラスチックごみ等の減量化・資源化のための技術開発を推進するとともに、製造事業者等の役割を強化すること。
     また、再生資源の利用を促進するため、各種規制緩和や税制上の優遇措置等を講じること。

    (6) 廃棄自転車の処理について、国、地方公共団体、事業者及び消費者それぞれの役割分担や費用負担を明確にした法整備を図ること。

    (7) 市町村が行う生ごみ処理機購入補助事業に対する財政措置を講じること。

    (8) ごみ固形燃料の製造施設及び利用施設における固形燃料貯蔵積上げについては、サイロの構造及び安全対策のレベルに応じて高さ制限を緩和すること。

    (9) 溶融スラグの早期JIS化を行うとともに、JIS化後は積極的に再利用に取り組むこと。

    (10) 海岸に漂着する廃棄物のうち、特定できるものについては、当該事業者の責任とすること。
3.容器包装リサイクル法について
    (1) 容器包装廃棄物の発生抑制及び不法投棄防止策の一環として、リターナブル容器の普及拡大を図るとともに、デポジット制を導入すること。

    (2) 拡大生産者責任の観点から、製造事業者等に回収を義務付けるなど、市町村と事業者の費用負担及び役割分担について、抜本的な見直しを行うこと。

    (3) 容器包装類の素材や種類の規制など、製品規格の基準を策定すること。
     また、消費者が容器包装廃棄物を分別しやすいよう、製造事業者等に設計段階から分別やリサイクルに配慮した仕様を義務付けるなど、事業者の役割を強化すること。

    (4) リサイクルを容易にするため、容器包装の識別表示の更なる普及促進を図るとともに、リユース材、マテリアル材、カスケード材、ケミカル材などの識別表示をすること。

    (5) 発電施設等一定の条件を備えたごみ焼却施設におけるプラスチック製容器包装ごみ等の処理については、容器包装リサイクル施設でのリサイクルとして早期に認定すること。

    (6) 市町村合併前に設置した容器包装リサイクル法に基づく保管施設を、合併後においても継続使用できるようにすること。
4.家電リサイクル法について
    (1) 家電4品目等のリサイクル費用について、製品販売時における徴収とするとともに、同費用の管理システムを確立すること。
     また、家電品目の対象の拡大について、検討すること。

    (2) 製造事業者の責任を明確にし、市町村に新たな負担が生じないようにするとともに、リサイクル費用の低減に寄与する施策の充実を図ること。

    (3) 不法投棄については、事業者の責任において国民への啓発を行うとともに、所有者登録制度を確立するなど、その防止対策の徹底を図ること。
     また、不法投棄が生じた場合の費用については、国又は事業者において負担すること。
5.産業廃棄物について
    (1) 産業廃棄物の不適正処理に対応するため、自社処分行為に係る罰則を強化するとともに、小型焼却炉や保管施設等に対する規制を強化すること。     

    (2) 不法投棄産業廃棄物等の早期撤去に向け、技術的支援や財政措置を講じること。

    (3) 産業廃棄物処理施設を広域的に整備するなど、国・都道府県・産業界が一体となって、産業廃棄物が適正に処理される仕組みを早急に構築すること。

 以上要望する。