リサイクルをより一層促進していくためには、可能な限りマテリアルリサイクル(物質回収)(注1)を進めるとともに、それが困難な場合にはサーマルリサイクル(エネルギー回収)(注2)を行うような、資源循環を基調としたリサイクルシステムを構築することが重要であり、また、社会的合意に基づく各主体の役割分担によって、そのシステムを十分に機能させていかなければならない。 |
リサイクルについての資源・エネルギー収支やコストダウンに配慮するとともに、社会的に効率的な仕組みになるよう、廃棄物になったときのリサイクルを容易にするような製品開発が事業者に求められる。また、消費者には、「リサイクルしやすい製品を買う」という協力など、リサイクル社会を構築する努力が以前にも増して望まれる。 |
循環型社会の構築をめざし、環境にやさしいライフスタイルに転換していくためには、各主体が自ら環境学習に努めるとともに、行政や事業者による消費者への環境情報の提供と環境学習の推進が必要である。 |
*A市*
ごみ排出のマナーや意識の啓発は子供の頃からの学習に期待される部分が大きいことから、全市の小学校4年生を対象にして、社会科副読本『美しいまちに』を作成・配布している。また、「こども環境サミット」(開始年度:平成6年度)を開催して、市内の小中学生から環境問題として廃棄物や省エネルギーに関する意見発表や市長への提言等をもらっている。さらに、全市民向けにはごみガイド『美しいまちに』を作成配布しているほか、リサイクル活動への積極的な取り組みを啓発することを目的とした「リサイクルフェア」を開催している。また、環境アドバイザー制度(開始年度:平成9年度)を創設し、地域の要望に応えて廃棄物問題等に関する講習等を行っている。 |
リサイクルが効率的に行われるためには、資源物の排出段階において、分別排出が徹底されることが必要である。また、都市自治体による資源分別収集や集団回収(注4)などの既存の資源回収ルートの拡充を図るとともに、その他の資源物についても多様な回収・再生利用ルートとシステムの構築を図っていく必要がある。 |
*B市*
B市では、容器包装の1つであるトレーについて、平成9年4月1日より一般家庭ごみを対象にした収集ルートとして、市による直接収集を開始した。具体的には、分別収集の1品目として、ステーション方式により週1回収集するもので、これにより従来の店頭回収に加えて2つのルートが整備された。実際の収集作業は、委託先である「環境事業公社」が行い、リサイクルルートに乗せられている。 |
資源・エネルギー収支に配慮しつつ、最終処分量の軽減や資源の有効利用の観点から、極力マテリアルリサイクル(物質回収)を進めることが必要である。また、行政及び事業者はリサイクル施設の整備(インフラ)を進めるとともに、行政はリサイクルの広域連携(近隣市町村あるいは県レベル)のための調整を行う必要がある。 |
*C市*
C市では、平成10年10月から、販売業者、容器・内容物メーカー及びC市が協働して、使用済みペットボトルのモデル的な事業者回収ルートを構築し、ペットボトルリサイクルの一層の推進を図る目的で、「ペットボトル事業者回収システム」を始めた。同システムでは、販売業者はペットボトルの回収ボックスを設置し、回収されたペットボトルを市の資源化センターまで運搬する。また、回収されたペットボトルの再商品化施設までの運搬及びフレーク化(再商品化)については容器・内容物メーカーが行うが、具体的には、一旦市内の民間の保管場所に貯留し、その後、固形燃料化(RDF)及び溶融固化しての埋め立ての2方法で処理している。市の役割としては、回収システムが円滑に機能するよう、運営管理の総括と調整を行うとともに、分別排出基準の向上に努めることとしている。*D市*
D市では、平成7年4月から、それまで可燃ごみとして処理していたプラスチックごみを分別収集することになった。これによって、「資源物」「可燃ごみ」「不燃、粗大ごみ」「有害ごみ」という4分別収集が、「プラスチックごみ」を加えた5分別収集になった。資源物については、古紙類、古布類、紙パック類、空ビン類、空カン類、金属類の6種類に分けて行われている。同市と資源回収の協定を結んでいるD市再生資源事業共同組合において、月2回、品目ごとに買い上げられ、町内会・自治会に支払われている。また、市も資源回収の円滑な推進を図るため、町内会・自治会に対して報奨金や助成金を交付している。 |
技術的・経済的理由や環境負荷の程度等によって、マテリアルリサイクルが困難なものについては、焼却に伴う環境対策に万全を期しながら、焼却熱をエネルギーとして利用するサーマルリサイクル(エネルギー回収)を行うべきである。なお、廃プラスチックの油化や固形燃料化については、燃料として用いた場合には、サーマルリサイクルに含めるものとする。 |
*E市(スーパーごみ発電)*
E市では、平成10年5月からスーパーごみ発電の運転を開始した。スーパーごみ発電は、ガスタービンと蒸気タービンのコンバインドシステム(複合発電)で、高効率発電が可能となるものである。このシステムは、同市と民間企業2社の協力体制によって稼動している。発電された電力は工場での自家消費の外、隣接する市施設の電力として供給し、残りの電力(約75%)は電力会社に売電している。同市のスーパーごみ発電システムの導入は、国内3番目、国内最大となっている。 |
リサイクルシステムが円滑に機能するためには、すべての経済主体が再生品の購入主体であるという認識のもとで、再生品を積極的に選択・購入し、需要を拡大するなど、安定的な再生品市場の確保が必要である。 |
*F市*
F市環境事業局は、平成6年3月に「庁内ごみ減量化・資源化推進本部」を設置し、平成9年度には庁内の再生紙利用率を96%に伸ばすなどの実績を上げてきた。さらに、平成10年10月には、「F市環境保全行動計画」を策定し、エネルギ−使用量や用紙使用量の10%削減を目指した「環境配慮の10%行動」や、環境負荷の少ない用品を購入する「グリーン購入」などを推進している。また、平成10年11月10日には、庁内の文具事務用品について再生品の購入を義務づけた、「庁内再生品等購入及び使用促進要領」を施行した。同要領は、コピー用紙は古紙混入率100%,ボールペンは軸が再生樹脂製品のものなど、用紙類6品目・文具事務用品28品目について基準を設け、基準品以外は購入できないことを原則としたものであり、「要領」で再生品使用を義務づけたものとしては、全国で初めてのものである。 |