理事・評議員合同会議(H12.11.9) 決定




都市税財源の充実確保に関する決議

 地方財政は、景気低迷による税収の停滞に加え、連続する巨額の財源不足を地方債の増発や地方交付税特別会計の借入金を中心に補ってきた結果、地方公共団体の借入金総額は、平成12年度末で、地方交付税特別会計の借入金38兆円を含めて184兆円に上るなど、今や構造的な危機を迎えている。
 また、個々の都市自治体においても、政策減税による影響などで税収の増加が見込めない中、経済対策による地方債残高の増加やこれに伴う今後の公債費負担の増大など、財政構造は急速に悪化の一途を辿り、財政運営は一段と深刻さを増している。
 一方で、地方分権一括法の施行などで、地方分権がより現実味を増すにつれ、都市自治体は、介護保険や国民健康保険の運営、ダイオキシン対策、リサイクル推進、地球温暖化対策などの廃棄物・環境対策、中心市街地の活性化、多方面にわたる都市基盤の整備、さらには高度情報化への対応をはじめ、数多くの行財政課題に直面している。
したがって、今後、都市自治体が、財政の健全性を確保しながらその責任を十分に果たしていくためには、必要な税財源の安定的確保が不可欠である。
 国においては、このような状況を十分認識し、下記事項について適切な措置を講じられるよう強く要請する。


1.地方分権の進展に伴う都市自治体の役割の増大を視野に入れ、地方の歳出規模と地方税収入との乖離をできるだけ縮小するという観点に立って、所得税から個人住民税への、消費税から地方消費税への税源移譲など国と地方の税源配分の見直しを含む税制の抜本的な改革を進め、都市税源の充実強化を図ること。

2.法定5税分の地方交付税が著しく不足する状態が続いているため、地方交付税特別会計の借入れは既に膨大となっており、地方交付税が都市自治の安定的な運営を保障する財政調整制度として、将来にわたり十分に機能するかどうか危ぶまれるほどの状態となっているので、このことを考慮しつつ、地方交付税率の引上げ等により、地方交付税総額を安定的に確保すること。
  また、各都市の地方交付税の算定に当たっては、その実情を的確に反映させること。

3.地方債資金については、財政投融資制度の改革後も、長期・低利の良質な公的資金の安定的確保を図ること。特に、公営企業金融公庫の資金調達については政府保証を維持すること。
 なお、政府系資金の繰上償還については、これまでも一部措置されているが、それらの見直しを含めた弾力的措置を講ずることなどにより、公債費負担を軽減し、財政の健全性の確保を図ること。

4.株式等譲渡益に係る申告分離課税方式への一本化については、改正済みの法律の規定どおり、平成13年4月1日から実施すること。

5.ゴルフ場所在都市にあっては、ゴルフ場関連の財政需要もあり、ゴルフ場利用税は貴重な財源であることから、その充実強化を図ること。
以上決議する。

平成12年11月9日

全 国 市 長 会