理事・評議員合同会議決定(H21.11.20)




都市税財源の充実強化に関する決議

 

 基礎自治体を重視し、地域主権改革を断行するという鳩山新内閣は、そのための第一歩として地方の自主財源の充実・強化に努めるとしている。
 都市自治体は、住民の日常生活や生命・安全に直接影響し、一時の停滞も許されない行政サービスを提供しているところであるが、少子高齢化が進むなかで社会保障関係費が急増し、社会基盤施設の老朽化対策にかかる経費の増大等が見込まれるなど、都市自治体を取り巻く厳しい税財政状況は、予断を許さない状況となっている。
 先般示された明年度の地方交付税の概算要求では、本会が永年主張している地方交付税の増額や、交付税率の引上げが要求されたところであるが、年末の予算編成においては鳩山総理の強い政治的リーダーシップにより地方の税財源の拡充が図られることを強く期待するものである。
 鳩山新内閣は、国と地方の関係を国が地方に優越する関係から対等の立場で対話していける新たなパートナーシップ関係に根本的に転換するとし、同時に、国と地方が対等に協議する場を法制化するとしているが、これは、我が国内政が、国と地方との密接な連携のもとに政策を実施する仕組みとなっていることからも、是非とも実現しなければならない。
  今後、法制化の検討に合わせて、国と地方の事実上の協議の場において、新たに地方に負担を伴う政策、地方財政対策等の都市自治体の税財政上の重要な課題をはじめ地方の根幹に関わる課題に関して十分な協議を重ねることを強く求めるものである。また、地方税の課税主体は地方自治体であることから、政府税制調査会での税制改正の検討に当たっては、地方が主体的に制度設計に参画する仕組みを構築することを求めるものである。
 政府においては、共に豊かな日本、地域社会を実現するために、地域主権確立の基礎となる都市税財源の拡充に向けて、その実現を強く要請する。


1.地方交付税の復元・増額及び法定率の引上げ


(1)これまでの地方交付税の大幅な削減によって財源調整・財源保障機能が低下し、地域間格差を招き、必要とされる事業の実施も困難となっている。そこで、地方交付税の有するこれらの機能を回復し、強化するため、地方交付税を復元するとともに、増大する財政需要を的確に反映し、その増額を図ること。

 また、地方交付税の法定率の引上げ等により恒常的な地方交付税の財源不足の解消を目指すとともに、その総額を確保し、併せて、都市自治体の財源の予見可能性を向上させること。


(2)都市自治体が直面している福祉、医療、子育て等社会保障、教育・安全などの経常的行政サービスの増大や道路・橋梁、学校等の改修費用の増大など真に必要な財政需要を的確に地方財政計画に盛り込み、都市自治体の避けられない財政需要の増嵩を適切に地方交付税の需要額に反映させること。


(3)地方自治体の固有財源である地方交付税が、国の裁量により一方的に削減されることがないよう、安定的な地方財政を保障する観点から、国から恩恵的に与えられたものではないことを明確化するため、「地方交付税」を国の特別会計に直接繰り入れ等を行う「地方共有税」に変更すること。

2.地方税等自主財源の充実強化


(1)税制改革は、地方が担う事務と責任に見合う税財源配分を基本とし、当面、税源移譲による国・地方の税源配分「5:5」の実現を図ることにより、地方の財政自主権を拡充すること。


(2)今後、地域の実情に基づき都市自治体が主体的な判断によって行う生活、福祉、教育サービスや社会基盤施設の維持・改修等に係る経費がますます増大することが見込まれる。
 ついては、税制改革を実施するに当たっては、都市自治体がこれらの行政サービスを迅速かつ的確に提供できるよう自主一般財源を充実確保する観点から、地方消費税の拡充を含め、偏在性が少ない安定的な地方税体系を構築すること。


(3)自動車関係諸税の暫定税率については、極めて厳しい地方財政の状況、道路整備などの財政需要及び地球温暖化対策などの観点から、代替財源を示すことなく安易に廃止することがあってはならないこと。
 なお、暫定税率の見直しに関連し、いわゆる環境税の検討に際しては、都市自治体の環境施策に果たす役割や財政負担を十分勘案し、地方税としての検討も行うこと。

3.自由度を高める国庫補助負担金の改革

 国庫補助負担金の廃止と一括交付金の創設にあたっては、都市自治体の意見を十分踏まえ、必要とする事業の執行に支障が生じないよう、その総額確保方策や配分方法とともに、地方交付税制度との整合性にも十分留意して制度設計を行うこと。