第78回全国市長会議 決議



 

都市税財源の充実強化に関する決議

 

 地方分権は、都市自治体の自主性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図ることにある。
 その実現には、国と地方が分担すべき役割を明確にし、都市自治体が地域の実情に即して住民生活の維持向上に向けた総合的な行政サービスを提供することができるよう、一般財源が充実確保されなければならない。
 しかし、今、都市自治体は、地方交付税の大幅な削減による交付税機能の低下を原因とする地域間格差の拡大や、累次の国・地方を通じた大幅な財政歳出の削減圧力などにより、財政運営が大きな打撃を受け、強い疲弊感に陥っている。
 今後、少子高齢化が進む中で、増嵩が迫られる福祉、医療などの社会保障関係費や、日常生活に欠くことのできない教育、安全などの経費が見込まれ、これ以上の財政状況の悪化は、住民サービスへ深刻な影響を与えかねない。
  政府は、地方交付税の本質を見失うことなく、地域住民の生活を守るために必要な交付税総額を増額し、地方が担う事務と責任に見合う税源移譲を含めた税源配分、地方税財政の偏在是正等に早急に取り組むとともに、都市自治体が責任を持って自立した行財政運営ができるよう、地方税財政制度の構築に向けて下記事項を実現するよう強く要請する。


1.税制抜本改革による国・地方「5:5」の実現と偏在性の少ない税体系の構築

(1)税制抜本改革は、地方が担う事務と責任に見合う税財源配分を基本とし、当面、税源移譲による国・地方の税源配分「5:5」の実現を図ることにより、地方の財政自主権を拡充すること。

(2)消費税を含む税制抜本改革は、地方消費税の充実を含む税源の偏在性が少なく安定的な税収を確保できる地方税体系を構築すること。なお、税制改革による格差是正は、地方交付税総額が減少することがあってはならない。

2.地方交付税の増額 

(1)地域間格差は、これまでの地方交付税の大幅な削減による地方交付税機能の低下にある。安全・安心な住民生活を保障するために地方交付税の有する財源調整・財源保障の両機能が充分発揮できるよう、地方交付税総額を復元・増額し、一般財源の充実を図ること。
 なお、景気対策や政策減税等、国が後年度財源措置すると約束した交付税措置は確実に履行すること。

(2)福祉、医療、子育て等の社会保障、教育・安全などの経常的行政サービスの増大や、道路、橋梁、学校等の改修費用の増大など真に必要な財政需要を的確に地方財政計画に盛り込み、都市自治体の避けられない財政需要の増嵩を適切に地方交付税の需要額に反映させること。

(3)地方交付税は、国から恩恵的に与えられたものでなく、地方自治体の固有・共有の財源であることを明確にするため、「地方交付税」を国の特別会計に直接繰り入れ等を行う「地方共有税」構想を早期に実現すること。

3.地方の自由度を高める国庫補助負担金等の改革
 地方税財政改革に当たっては、地方の自由度を高め、自立(律)した行政運営ができるよう、国と地方の役割分担を明確化し、国の義務付けや関与の廃止・縮小を一体的に進めながら、国庫補助負担金の廃止・縮小(一般財源化)を図ること。なお、国庫補助負担金の廃止等に伴う税財政措置を講じること。
 また、地方の自由度の拡大につながらない補助率の引下げは、決して許されない。

  以上決議する。