理事・評議員合同会議決定(H17.11.10)



生活保護及び児童扶養手当の地方への負担転嫁に反対する決議


 生活保護制度は、憲法第25条の理念に基づき、国の責任において、生活に困窮する全ての国民に対し、健康で文化的な最低限度の生活を保障するものである。
 先般、国と地方の関係者協議会のもとで、政府及び地方団体が学識経験者も交えて、保護率の上昇や地域間較差の原因等について、共同で科学的分析を行ったところ、保護率の上昇や地域間較差は、地方自治体の実施体制等の問題ではなく、失業率、高齢化、離婚率等との相関が高く、経済・雇用情勢や社会的要因が極めて大きな影響を及ぼしていることが実証された。これまで厚生労働省等が求めていた地方負担率の引上げでは、生活保護費の削減にはつながらないことも明確となった。
 これらを踏まえ、我々は、給付の適正化のための方策の検討を協議会で提言したところであるが、厚生労働省は、協議会の審議経過を全く度外視し、唐突に、生活保護等の見直し案を提示した。同見直し案は、国の負担を引き下げるため、無理矢理、扶助ごとに分断し、基準設定権限や国庫負担等を単に変更するものである。このような考え方は、本来、総体として捉えるべき人間の暮らしや営みを無視するものである。また、地方自治体ごとの裁量・責任で基準を設定することとなれば、全国的整合性を図るべき基準の均衡が損なわれることとなる。
 今回の生活保護及び児童扶養手当の見直し案は、地方分権に名を借りた地方への単なる負担転嫁であり、国の責任放棄以外の何ものでもなく、断固反対である。

以上決議する。

  平成17年11月10日

全 国 市 長 会