第75回全国市長会議 決議




国民健康保険制度の抜本改革に関する決議


 国民健康保険制度は、他の保険制度に加入していないすべての国民を対象とし、国民皆保険体制の最後の砦となっている。このため、国保加入者の所得水準は他制度と比較して著しく低く、無職者の占める割合は5割を超えるとともに、高齢者比率の上昇や医療の高度化による医療費の増嵩等が相俟って、国保財政の赤字は増大する一方である。
 今や、国保加入者の保険料負担率は限界に達しており、これ以上引き上げることは困難な状況にある。
 市町村では、総額で年間1兆円を超す一般会計から国保特別会計への繰入れを行い、破綻を凌いでいるのが実態である。
 このような構造的問題の解決なくして、国保制度の健全な運営は不可能であり、国保と被用者保険の制度間を通じた抜本改革が必要である。
 よって、国は、国保制度の抜本改革を行うため、医療保険制度の検討に当たり、下記事項の実現を図られるよう強く要請する。



1.安定的で持続可能な医療保険制度を構築するため、国を保険者とし、すべての国民を対象とする医療保険制度への一本化を図ること。

2.一本化の実現までの間、国保と被用者保険との制度間における財政格差について、「年齢構成」及び「所得状況」を要因として調整する仕組みを導入すること。

3.国保の安定的運営のための財政措置、一般会計から国保特別会計への繰入れに対する財政措置等、国保の財政基盤強化のための抜本的な対策を緊急に講じること。

4.今後、国民医療費は、高齢者医療費を中心として大幅な増加が見込まれることから、より実効性のある医療費の適正化対策を検討・推進すること。

5.国において検討を進めている高齢者医療制度については、現在、国保と介護保険の二つの保険者として極めて厳しい財政運営を強いられている市町村が保険者となることは困難であるので、国等を保険者とし、給付と負担の均衡に配慮した持続可能な制度を構築すること。

 以上決議する。

 平成17年6月8日

第75回全国市長会議