第75回全国市長会議 決議




真の地方分権改革に向けた三位一体改革の推進に関する決議


 我々が進めている地方分権改革は、過度に国に集中する権限・財源を住民に身近な地方自治体に移すことにより、地域のニーズに応じた多様で透明性の高い住民サービスを提供できる体制を確立することである。
 我々、都市自治体は、三位一体改革の推進が、地方分権改革の大きな流れを確実にし、地方自治の確立に資するものであることを強く確信し、改革の断行を至上の命題としている。
 三位一体改革は、昨年、我々が提出した「地方の改革案」を端緒としてようやく動き出したところであり、更に確実な流れにしていかなければならない。
 しかし、昨年11月に示された政府・与党合意の三位一体の改革の全体像では、多くの課題が先送りされたうえ、3兆円の税源移譲は必ずしもその額、内容が明らかにされていないなど、地方の改革案からみて極めて不十分である。
 また、地方交付税の4.3兆円の削減や交付税率の引下げなど、地方の実態を無視し、国と地方の信頼関係を損なう提案がなされている。
 我々都市自治体は、市町村合併により自ら合理化・効率化を実践するなど、歳出削減努力のみならず、地方行財政改革に取り組んでいく決意である。
 よって、政府においては、先送りされた課題に対して、国と地方の協議を進め、平成18年度までの三位一体改革については、地方の改革案に沿った形で実現し、また、我々が求める平成19年度以降の第2期改革に着手されるよう、このことを「基本方針2005」に明示した上で、真の地方分権推進のための改革に真摯に取り組み、下記事項を実現するよう強く要請する。



1.3兆円の税源移譲の確実な実行
    (1)平成18年度までに、所得税から住民税への10%の比例税率化による3兆円の税源移譲を確実に実施すること。
    「三位一体の改革」は、増税を目的とするものではないので、所得税から住民税への税源移譲を行うに当たっては、個人所得課税全体で適切な措置を講じること。
    (2) 税源移譲される個人住民税の姿と、その工程を早期に明示すること。

2.18年度以降の地方交付税総額の確保
    (1)都市自治体が地域の行政課題に適切に対応できるよう、「基本方針2004」及び「政府・与党合意」に基づき、安定的な財政運営に必要な一般財源総額を確保すること。
     また、平成18年度の地方交付税総額を確実に確保すること。
    (2)地方財源不足に対する補てんは、原則に従い、地方交付税の法定率分の引上げで対応すること。
    (3)地方財政計画と決算との乖離については、福祉・教育等の経常的経費の実態を的確に反映してこなかったことによるものである。都市自治体の財政構造が、投資から経常に変化している実態を踏まえ、投資と経常を同時一体的に是正すること。
    (4)都市自治体の計画的な行財政運営を保障するため、地方六団体の参画のもとに「中期地方財政ビジョン」を策定すること。

3.地方の改革案に沿った補助金改革の実現
    (1)政府・与党合意で先送りされた税源移譲額6,000億円に見合う国庫補助負担金改革について、政府は早期に具体的な検討を行い、結論を得ること。その際、地方の改革案に掲げている社会福祉・文教関係の施設整備費や経常的な国庫補助負担金を優先すること。
    (2)国の財政再建のための生活保護費などの国庫負担率の引下げは、「三位一体の改革」に名を借りた単なる地方への負担転嫁であり、断固として受け入れられないこと。
    (3)国庫補助負担金の廃止は確実に税源移譲に結びつけるとともに、交付金化は、改革とはいえず、一般財源化し、税源移譲すること。

4.地方財政自立に向けた第2期改革への着手
    (1)地方分権を一層推進するため、国と地方の最終支出の比率と租税収入の配分比率の大きな乖離を縮小するため、消費税を含めた基幹税により8兆円の税源移譲を積極的に進めること。
    (2)そのため、現在進めている平成18年度までの改革を「第1期改革」と位置づけ、19年度以降も「第2期改革」として更なる改革を行うこと。

5.「国と地方の協議の場」の制度化等
  重要な役割を果たしている「国と地方の協議の場」を、今後、定期的に開催し、これを制度化すること。なお、義務教育国庫負担金、生活保護費負担金等については、最終的には「国と地方の協議の場」において協議・決定すること。

6.自己改革と地方の自主性・自立性の拡大
    (1)住民の負託に応えるため、人件費の抑制、事務事業の再編、アウトソーシング等により一層徹底した行財政改革を断行すること。
    (2)地方が自らの権限と責任において主体的に取り組むことができる行財政システムの確立のため、国庫補助負担金の改革と併せて、国による地方自治への関与・規制の撤廃に取り組むこと。

 以上決議する。

 平成17年6月8日

第75回全国市長会議