第73回全国市長会議 決議




税源移譲を基軸とした三位一体の改革に関する
緊急決議

 我々都市自治体は、厳しい財政状況の下で、自ら徹底した行財政改革に積極的に取り組みつつ、福祉・教育・環境対策・都市基盤整備等様々な行政課題に的確に対応しているが、我々が真に望む地方分権型社会を実現するための残された最大の課題は、国から地方への税源移譲等による地方税財政基盤の確立である。
 先般、地方制度調査会、地方分権改革推進会議において、三位一体改革に関する意見がそれぞれ示された。地方制度調査会の意見では、三位一体改革の具体化は、地方分権時代に相応しい地方税財政基盤の確立という目的を基本に据えて進めることが必要であり、地方分権の理念を踏まえ、歳入面における地方税のウエイトを高めることを基本とすべきとされ、かねてからの本会の主張に合致したものである。
 しかし、地方分権改革推進会議の意見では、税源移譲等による地方税財源の充実強化が基本的に先送りされているほか、国の歳出削減のために交付税の法定率分と法定率以外の部分に区分し、さらに、地方共同税(仮称)が内容が示されないまま盛り込まれるなど、これまでの分権改革の流れに逆行するもので、到底受け入れられない。
 よって、国においては、真の地方分権の視点に立って税源移譲を基軸とした三位一体改革を早急に実現されるよう、下記事項について強く要請するものである。



1.地方の歳出規模と地方税収の乖離を縮小し、住民の受益と負担の明確化を図るため、地方税中心の歳入構造を早期に構築し、地方自治体の自己決定権を確立すること。
 税収が安定的で、かつ、税源の偏在性が少ない地方税体系を構築するため、所得税から個人住民税へ、消費税から地方消費税への税源移譲等を早期に実現し、当面、国税対地方税の割合1対1の実現を目指すこと。

2.地方交付税については、所要の改革を進めるにしても、地域間で税源が偏在するなかで一定の行政水準を確保するためには、財源保障と財源調整の二つの機能を一体として果たす地方交付税の役割は重要であり、両機能を堅持すること。

3.国庫補助負担金の廃止・縮減については、廃止・縮減に伴い地方に必要となる財源は地方への税源移譲を同時に行い、地方の財政運営の自主性を拡大すること。
 また、国の歳出削減を目的とした、単なる補助率の引下げや補助対象の縮減など、地方への負担転嫁は断じてあってはならないこと。

 以上決議する。

 平成15年6月12日
第73回全国市長会議