第73回全国市長会議 決議




医療保険制度改革に関する決議


 急速な少子高齢化の進展、長引く景気の低迷、高度医療技術の進歩、国民の意識の変化など、我が国の医療保険制度を取り巻く環境は大きく変化している。こうしたことから、保険料収入が伸び悩む一方で、老人医療費を中心とする国民医療費は増大しており、各医療保険制度の運営を一段と困難にしている。特に、国民健康保険は、制度発足当初に比べ被保険者に占める高齢者、無職者、低所得者の割合が著しく増加し、財政運営は極めて厳しい状況にある。
 政府は、先般、「医療保険制度体系に関する基本方針」を閣議決定し、「給付の平等、負担の公平を図り、医療保険制度の一元化を目指す。」との基本的考え方を示した。この基本方針を受けて、厚生労働省は、社会保障審議会の中に新たに医療保険制度改革のための医療保険部会を設置したところである。
 よって、国においては、基本方針の具体的内容の検討にあたり、下記の事項について措置するよう強く要請する。



1.「医療保険制度体系に関する基本方針」の具体的な検討にあたっては、市町村の意見を十分反映させること。特に、保険者については、被用者保険、国保それぞれについて、都道府県単位を軸とした再編・統合を推進するとともに、新たな高齢者医療制度の創設について検討することとしているが、国保は、被保険者に高齢者が多い上、無職者の割合が約半数を占めるなど構造的問題を抱えており、また、保険料(税)の賦課方法の相違により、被用者保険と比べ保険料負担が大きく、負担の公平を図るためには国保と被用者保険との制度間を通じた一本化が必要である。基本方針では、「医療保険制度の一元化を目指す」としているが、本会など国保関係団体の主張している「医療保険制度の一本化」に向けた道筋を明らかにし、その具体的内容を明確にすること。

2.一般会計から国民健康保険特別会計へ巨額の繰入れを行っても、なお大きな赤字を計上している実態を踏まえ、健康保険法等一部改正法に盛り込まれた国保の財政基盤の強化策を継続するとともに、国の責任と負担において、国保が抱える構造的問題に対する財政上のさらなる措置を講じること。

 以上決議する。

 平成15年6月12日

第73回全国市長会議