第72回全国市長会議 決議



医療保険制度改革に関する決議


 我が国の医療保険制度は、急速な高齢化の進展に伴い国民医療費が年々増大するとともに、経済の低迷により保険料収入が伸び悩むなど、各医療保険の財政悪化が一層深刻化している状況にある。特に、国民健康保険制度は、産業構造及び就業構造の変化により、高齢者や低所得者の加入割合が高く、その財政基盤は脆弱で、極めて厳しい財政運営となっている。このため、本会をはじめとする国保関係者は、社会経済情勢の変化に即応しつつ、国民の間で給付と負担の公平を図り、安定した国民皆保険制度を維持していくために、すべての国民を通ずる医療保険制度への一本化を主張してきた。
 国は、昨年末の医療制度改革大綱において、「医療保険制度の一元化」を将来の方向の有力な考え方とし、今国会(第154回国会)に同大綱に示された方向の下、将来にわたって医療保険制度の安定的運営を図るため、医療保険制度の体系の在り方等について、平成14年度中に基本方針を策定することを内容とした健康保険法等の一部を改正する法律案を提出しているところである。
 厚生労働省は、厚生労働大臣を本部長とする「医療制度改革推進本部」を設け、この基本方針の策定の検討に着手したところである。
 よって、国は、医療保険制度改革を行うにあたって、下記の事項を実現するよう強く要請する。



    1.健康保険法等一部改正法案においては、医療保険制度の在り方等について基本方針を策定することとされているが、医療制度改革大綱で示された「一元化」の方向に沿った具体的な検討を行い、できるだけ早い時期に適切な結論を得ること。その場合には、本会をはじめとする国保関係団体がこれまで主張している「すべての国民を通ずる医療保険制度への一本化」の考え方を尊重すること。

    2.国民健康保険が一般会計からの繰入れを余儀なくされている運営の実態を踏まえ、健康保険法等一部改正法案を速やかに成立させ、同法案に盛り込まれた国保の財政基盤の強化策を国の責任と負担のもとに確実に実行すること。

 以上決議する。
 平成14年6月6日
第72回全国市長会議