第71回全国市長会議 決議



医療保険制度の抜本改革に関する決議


 国民健康保険は、就業構造の変化、急速な高齢化の進展などにより、他の保険制度との間における給付と負担の不公平が一層深刻化し、保険料収入の確保が益々困難になるなど極めて厳しい運営を余儀なくされている。多くは、都市自治体の一般会計からの多額の繰入れなどによって、ようやく運営されているのが実態である。
 このため、本会など国保関係者は、抜本的な対策としてすべての国民を通ずる医療保険制度への一本化を主張してきた。しかし、国においては、もっぱら高齢者医療費対策の問題として制度改正の検討を進めており、先般、今後の論議の重要な資料として公表された「医療制度改革の課題と視点」においても、国保と他の医療保険との比較における被保険者間の不公平や国保運営の厳しい実態が問題点として明確に認識されているとはいい難い。
 高齢者医療費の増大が重要な問題であることはいうまでもないが、社会経済状況の変化に対応しながら、将来にわたり安定的に国民医療を確保するためには、高齢者医療費への対応のみでなく、医療保険制度全体のあり方について早急に抜本的な改革を実現する必要がある。
 国においては、国保の厳しい実態を踏まえて真摯に検討を行い、下記事項を速やかに実現されるよう強く要請する。



    1.国が保険者となり、すべての国民を通ずる医療保険制度への一本化を実現すること。仮にその早急な実現が困難であれば、当面の段階的な措置として、現在の保険者は存続させながら、医療保険に関する財政を一本化すること。

    2.無理のない負担水準で国民に適切な医療を提供するためには、増嵩し続ける医療費の問題の解決が不可欠であるので、保健予防活動を含め、総合的な観点から適正化のための施策を強く推進すること。

   以上決議する。
  平成13年6月7日

第71回全国市長会議