全国市長会 決議 平成101998)年63

介護保険並びに医療保険に関する決議

 

介護保険制度が平成12年度から施行されることに伴い、都市自治体では、制度発足に向け積極的な取組みを行っているところである。しかしながら、保険者である市町村に課せられた準備作業は極めて膨大であり、その上、制度の円滑な運営のために措置しておくべき事項も少なくない。これらを限られた期間内に処理するためには、平成10年度中には制度発足に必要と考えられるすべての仕組みを構築しておく必要があり、そのためには、国の迅速かつ適切な対応が不可欠である。

また、医療保険制度は介護保険制度と密接な関係にあるが、本会は、国民健康保険制度が現在の医療保険制度の問題点を一身に背負う形となっている現状を踏まえ、医療保険制度の抜本改革の必要性を主張してきたところである。

よって、国は、これらについて、これまで本会が提出した意見を十分尊重するとともに、特に下記事項について万全の措置を講ずるよう改めて要請する。

 

 

1.介護サービス基盤の整備を推進するため、新たな介護保険事業計画の早期実施、在宅サービス等の需給見通しに基づく必要な調整の仕組みの導入、特別養護老人ホームの退去者への対応、民間介護サービスの導入促進のための介護報酬額の早期明示などについて必要な措置を講ずること。

 

2.介護保険財政の健全な運営を確保するため、類型別モデルケースによる市町村単位の財政試算や国の調整交付金の具体的内容を明らかにするとともに、立法措置を含め、適切かつ円滑な介護保険料の賦課徴収のために必要な措置を講ずること。

 

3.認定された要介護度に応じた介護サービスが国の定める支給限度額の範囲内で供給できない場合、保険者である市町村において、いわゆる「超過負担」的な負担が生じるおそれがあるので、このような事態を避けるためにも、実態調査等を踏まえ、実情に即した支給限度額を設定すること。

 

4.要介護認定が公平・迅速に行われるよう、平成9年度に実施された試行的事業の結果を十分に踏まえ、適切な認定基準の設定等必要な措置を講ずるとともに、認定に係る不服に的確に対処できるよう、適切な処理体制を確立すること。

 

5.介護保険制度の施行までの間、市町村においては、施行準備のための膨大な事務と、現行制度による事務とが併存するため、人員・経費の確保に苦慮している。

国においては、介護保険制度施行後における事務処理体制の維持はもとより、準備期間中の人員・経費の確保についても必要な措置を講ずること。

 

6.医療保険制度の抜本改革にあたっては、給付と負担の公平化と制度の安定的な運営のため、高齢者を含むすべての国民を対象とした医療保険制度への一本化を図るとともに、その運営は国の責任において行うものとすること。

 

以上決議する。

 

   平成10年6月3日

 

68回全国市長会議