全国市長会 理事・評議員合同会議決定 平成10(1998)年11月12日

地方税財源の充実確保に関する決議

  地方財政は、長引く不況の影響をうけ、近年連続して巨額の財源不足を生じている。都市自治体は、税収の落ち込みや特別減税の実施に加え、景気対策としての諸事業に伴う公債費の累増等により、危機的ともいうべき状況にある。一方、都市自治体の財政需要は、少子高齢化の中の保健福祉対策、廃棄物の処理、中心市街地の活性化など眼前に山積しているところである。また、経済対策としての追加事業への対応が課題となることも予想される。
  以上のような状況を十分認識し、国においては、下記の事項について適切な措置を講ずるよう強く要請する。



1.経済対策の一環として論議されている税制改正については、次により措置すること。
(1) 税制改正を含め、経済対策は基本的に国の責任と負担のもとに行うという考え方にたって検討すること。
(2) 地方分権推進計画に定められているように、地方の歳出規模と地方税収入の乖離を縮小するため、所得税から個人住民税への、消費税から地方消費税への税源移譲を含む抜本的な税制改正を進め、都市税源の充実強化を図ること。
(3) 個人及び法人住民税は、都市自治体にとって、基幹的な税目であることから、その税制改正如何は、都市財政に重大な影響をもたらすものであることを十分認識すること。また、所得課税のあり方に関する検討においては、個人住民税はその税率構造が既に簡素かつ緩やかであり、最高税率も十分低いものとなっていることを踏まえて慎重に行うこと。
2.都市自治体の財政運営に支障を来たすことなく増大する財政需要に対応することができるよう、地方税財源の充実確保を図ることとし、地方交付税については、交付税率の改定等により総額の安定的確保を図ること。
3.国と地方の役割分担に即した国から地方への税源移譲を行い、地方分権時代にふさわしい地方税体系を確立すること。
4.個性ある地域づくりや住民に身近な生活環境の整備等のために必要な地方単独事業が実施できるよう、安定的な財源措置を行うこと。
5.急激に増加する公債費の負担を軽減し、財政の健全化を図るため、既往の借入の政府系資金について、繰上償還等弾力的な運用を図ること。
以上決議する。

平成10年11月12日

全国市長会