第80回全国市長会議 決議



 

医療制度改革及び医師等確保対策に関する決議

 高齢化の進展等に伴う医療費の増嵩は、各医療保険制度の財政運営を圧迫している。とりわけ、国民健康保険は、加入者における高齢者・低所得者の割合が著しく高いうえ、近年の経済不況に伴う失業者の急増により一段と厳しい事態となっている。
 このような中、政府は、昨年11月、厚生労働大臣のもとに「高齢者医療制度改革会議」を設置し、国民皆保険制度の堅持を前提に後期高齢者医療制度廃止後の新たな制度のあり方について検討を進めているところである。今後、年末に最終取りまとめを行い、これを踏まえ、明年の通常国会に法案を提出し、平成25年4月から新しい高齢者医療制度を施行する予定としている。
  一方、自治体病院等においては、病院の閉鎖等による地域医療の崩壊や医師不足等に伴う様々な問題が生じ、住民の安心・安全の確保に責任を負う都市自治体や住民自治の根幹を揺るがしかねない事態となっており、早急な対応が必要となっている。
 よって、国は、特に下記事項について万全の措置を講じられたい。

 

1.医療保険制度について


(1)後期高齢者医療制度を廃止して新たな高齢者医療制度を創設するに当たっては、被保険者をはじめ現場に混乱をもたらさないためにも、運営主体を以前の市町村単位に後戻りさせることはあってはならず、その改革の方向としては、すべての国民を対象とする医療保険制度の一本化に向けて、国または都道府県を保険者とする国民健康保険制度の再編・統合等を行うこと。


(2)後期高齢者医療制度の廃止に伴い、国民健康保険制度の負担増は決して招かないよう、国の責任において万全の対策を講じること。


(3)新制度発足に伴って発生・波及するシステム経費等については、超過負担を招かないよう必要な額を確実に確保するとともに、速やかな情報提供と十分な準備期間を設けること。


2.医師・看護師等の確保対策及び地域医療の充実について


(1)産科医・小児科医・麻酔科医等をはじめとする医師、看護師等の不足や地域ごと・診療科ごとの医師偏在の実態を踏まえ、国の主要施策である質の高い医療サービスの実現等を実効あるものとするとともに、地域を支える医師・看護師等の絶対数を確保するべく即効性のある施策及び十分な財政措置を早急に講じること。


(2)自治体病院をはじめ公的病院については、地域の実情に応じた医療を確保することができるよう、十分な財政措置を講じること。
  また、自治体病院をめぐる経営環境が激変していることにかんがみ、経営改善等に係る具体的な情報提供や財政措置などの支援策を積極的に講じること。

 

 以上決議する。
   
  平成22年6月9日

                        全 国 市 長 会