第80回全国市長会議 決議



 

子ども手当に関する決議

 我が国における少子化の進展は、社会保障や経済産業に深刻な影響を与え、国家の健全な存続に関わる重大な問題となっていることから、国と地方の信頼・協力関係の下で少子化施策が着実に推進されるべきものであると認識している。
 このため、都市自治体は地域ニーズを踏まえ、国に先行し様々な子育て支援策の実施責任を担い、住民福祉の向上のため懸命の努力を傾注しているところである。
 このような中、平成22年度の子ども手当は、児童手当との併給方式とされ、地方負担が継続して求められることとなった。
 このことについては、国と地方の役割分担が明確にされていないなど、地域主権の理念が曖昧になっており、また、子ども手当の決着に至る過程において、所管する厚生労働省から地方に対して一切の協議・説明がなかったことについて、都市自治体として再三にわたり遺憾の意を表明してきたところであるが、住民の不利益を回避する必要があるとの判断の下、あくまで今年度限りの措置として受け止めたものである。
 今後、子ども手当の在り方については、「国と地方の協議の場」、「地域主権戦略会議」等で総合的な子育て支援策も含め検討が行われることとなっているが、国は、特に下記事項について万全の措置を講じられたい。

1.平成23年度以降の子ども手当は、システム開発経費等の事務費や人件費を含め、全額国庫負担とするとともに、都市自治体の事務負担を極力軽減すること。
 また、今年度の子ども手当について、円滑に支給事務が遂行されるよう、引き続き適切な措置を講じること。

2.保育料、給食費等の未納問題に対応するため、必要に応じて子ども手当額を未納の保育料等の徴収すべき子育て関係費用に充てることができるよう法律に明記すること。
 このことについて、本年度においても実現できるよう速やかに検討すること。

3.子ども手当の在り方については、安心して子どもを産み育てることのできる環境整備に向け、地域の実情に応じた様々な子育て施策を推進していることから、現金による直接給付と保育サービスをはじめとする子育て関係経費とのバランスにも十分配慮すること。


4.国民の理解が十分得られるよう、国はその責任において、積極的な広報活動を行うとともに、財源確保の見通しを早急に示すこと。

5.平成23年度以降の子ども手当の本格的な制度設計に当たっては、地域主権の理念に基づき、都市自治体の意見を十分尊重して、総合的な子育て支援策に関し国と地方の役割分担を明確にした制度の構築を図ること。

 以上決議する。
 
 平成22年6月9日

                          全 国 市 長 会