第70回全国市長会議 決議



都市税財源の充実確保に関する決議

 地方財政の財源不足額は、ここ数年急激に増加し、平成12年度は、減税分を含めると13.4兆円という巨額に達した。そのため、地方交付税特別会計における借入金は平成12年度末で38兆円にのぼり、これを含む地方公共団体の借入金の総額は184兆円にも達している。当然、地方交付税法第6条の3第2項に定める地方交付税率の引上げ等が必要な事態であり、もはや危機的ともいうべき状況にある。
 個々の都市自治体においては、積極的に行財政改革を進め、経費節減に努めているが、不況による税収の落込み、経済対策による減税、公債償還費の増加等により極めて厳しい財政状況となっている。そのようななかで、都市自治体は介護保険の運営、廃棄物の処理、中心市街地の活性化、都市基盤の整備など、山積する課題に対処しなければならない。
 今後、地方分権が進展するに伴い、都市自治体は益々大きな役割を負わなければならないが、その責任を十分に果たしていくためには、必要な税財源の安定的な確保が不可欠である。
 このような状況にもかかわらず、昨年、平成12年度税制改正をめぐる論議において、都市財政の運営に対し何らの考慮もされないまま、固定資産税の大幅減税、ゴルフ場利用税の廃止が大きく取り上げられた。これは、都市自治の運営に責任を負う立場からみて、極めて遺憾な動きであり、理解に苦しむものであった。
 よって、国においては、このような状況を十分認識し、下記事項について適切な措置を講じられるよう強く要請する。



1. 地方分権の進展に伴う都市自治体の役割の増大を視野に入れ、地方の歳出規模と地方税収入との乖離をできるだけ縮小するという観点に立って、所得税から個人住民税へ、消費税から地方消費税への移譲など国と地方の税源配分の見直しを含む税制の抜本的な改革を進め、都市税源の充実強化を図ること。
 いわゆる環境税制を導入する際は、環境対策に係る地方公共団体の財政負担を勘案し、地方税とすること。
2. 地方交付税の総額が著しく不足する事態がつづき、地方交付税特別会計の借入れが既に膨大となっているため、地方交付税が都市自治の安定的な運営を保障する財政調整制度として、将来にわたり十分に機能するかどうか懸念すらされる状態であるので、このことを考慮しつつ、地方交付税率の引上げ等により、地方交付税総額を安定的に確保すること。
 また、各都市の地方交付税の算定に当たっては、その実情を的確に反映させること。
3. 政府系資金の繰上償還については、これまでも一部措置されているが、それらの見直しを含めた弾力的措置を講ずることなどにより、公債費負担を軽減し、財政の健全性の確保を図ること。
 また、財政投融資制度の改革後も、地方債資金について、長期・低利の良質な資金の安定的確保を図ること。
以上決議する。

平成12年6月7日
第70回全国市長会議