第79回全国市長会議 決議



 

地方分権改革の推進に関する決議

 

 第二期地方分権改革は、国・都道府県・市町村の役割分担を明確化したうえで、@事務事業の再配分、国等の関与、義務付け・枠付けの廃止・縮小を行う「地方の自立に繋がる行政面での分権改革」、A税源移譲の推進、地方交付税制度の再構築、国庫補助負担金等の廃止等の「住民自治を可能とする地方税財政制度の構築」を断行し、地域に住む住民が自らの意志によって地域の行政を決定できる仕組みを実現しなければならない。
  しかしながら、改革の実現に不可欠な分権型社会に向けた税財政制度の構築などを柱として、今春に予定されていた第三次勧告は、その提出時期も明確ではなく、既勧告分の具体化も含めた分権計画の策定、新分権一括法の成立など、改革の実施時期の後退も懸念されるところである。
 よって、地方分権改革推進委員会をはじめとする政府においては、強いリーダーシップのもと、真の地方分権改革を実現するため、下記の事項に真摯に取り組まれるよう強く要請する。

1.都市自治体への権限移譲の推進
 国・都道府県・市町村の役割分担に基づく事務事業の再配分に当たっては、「基礎自治体優先」の原則、「補完性・近接性」の原理に基づき、都市自治体が住民に身近な事務事業を地域において総合的・一体的に遂行できるよう、包括的に移譲するとともに、自由度の高い行政運営が可能となる推進方策を講ずること。
 また、国から地方、都道府県から市町村への権限移譲に当たっては、税源移譲等による適切かつ確実な財政措置を行うとともに、必要不可欠である専門的な人材育成等の仕組みを構築すること。
 なお、医療・福祉制度などの国の制度改正に当たっては、その企画・立案段階から地方との協議を実施し、その意見を反映させるものとすること。

2.義務付け・枠付けの廃止・縮小と条例制定権の拡大
 義務付け・枠付けについては、都市自治体の自主性の強化及び条例制定権の拡大を図る見地から、第二次勧告においてメルクマール非該当とされたものについては廃止することを原則として見直しを行うとともに、少なくとも全部・一部の条例委任や条例による補正の許容(上書き権)を認めること。
 また、法律の規定のみならず、政省令に基づく義務付け・枠付けについても見直しを行うこと。

3.国の出先機関の見直し
 地方分権改革推進本部が決定した「出先機関改革に係る工程表」では、組織の抜本的な見直しや職員削減の数値目標などは盛り込まれておらず、今後の「改革大綱」の策定にあたっては、その具体化を図るとともに、都市自治体の意見を十分反映させ、真の地方分権改革の実現を図ること。
 また、「人材調整準備本部」における事務・権限の見直しに伴う人員の移管等の仕組みの検討にあたっては、都市自治体の意見を十分に尊重すること。

4.税財政改革の推進
 地方が担う事務と責任に見合う税財源配分を基本として、当面、国・地方の税源配分「5:5」の実現を図るとともに、地方消費税の充実を含め、偏在性が少ない地方税体系の構築等を図ること。
 また、地方交付税の有する財源調整・財源保障の両機能を回復し、強化するため、地方交付税総額を復元・増額するとともに、「地方交付税」を国の特別会計に直接繰入れ等を行う「地方共有税」に変更すること。
 さらに、国直轄事業負担金については、地方分権改革推進委員会の意見に沿って維持管理費負担金の速やかな廃止などの改善を図るとともに、都道府県事業における市町村負担金や都道府県から市町村に対し一部転嫁されている国直轄事業負担金についても、事前協議の充実等の手続き面の改善だけでなく、都道府県と市町村との役割分担の基本に沿った見直しを行うこと。

5.「(仮)地方行財政会議」の法律による設置
 地方に関わる事項について、政府と地方の代表者等が協議を行い、地方の意見を政府の政策立案及び執行に反映させる「(仮)地方行財政会議の法律による設置」を第二期改革において実現すること。

6.「地方分権改革推進計画」の早期作成と「新分権一括法案(仮称)」の提出等
 地方分権改革推進委員会の勧告等を踏まえ、地方分権改革推進計画を早期に作成すること。その際、都市自治体の意見を十分に尊重すること。
 また、計画作成後、速やかに「新分権一括法案(仮称)」を国会に提出すること。
 さらに、地方分権改革推進委員会は、自らの勧告事項の政府における取組状況等を監視し、政府に対して積極的に意見を述べていくこと。

 以上決議する。