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乗合バス事業の規制緩和に関する意見書(平成11年1月19日)

   平成11年 1 月
全 国 市 長 会


 乗合バス事業については、政府は、規制緩和推進計画に基づき、生活路線の維持方策の確立を前提に、遅くとも平成13年度までに需給調整規制を廃止することとし、現在、具体的な方策について検討を進めているところである。
乗合バス事業は、地域住民の日常生活に密接に関連するものであり、その規制緩和は市民生活に大きな影響を与えることとなる。
 よって、国においては、下記の事項について十分留意のうえ、適切な措置を講ぜられたい。
 


 

1.需給調整規制の廃止の進め方について
  需給調整規制を廃止した場合、不採算路線が廃止されることなどにより住民生活に影響を与えることが予想され、そのような事態への対応が必要となるが、地域により対応のための期間等に相違があると考えられる。従って、そのような状況を十分考慮に入れた段階的な実施方法の検討が望ましい。

2.退出規制について
  退出規制を廃止する場合、不採算路線の廃止により、住民生活に影響を及ぼすケースが多く生ずることが考えられるので、路線存続の可能性の検討、路線廃止に関連する問題への対応等のため必要と考えられる一定の期間前の通知など退出についてのルールが必要である。

3.地域協議会及び地域交通計画について
  地方公共団体等関係者が地域協議会といった協議の場を設け、乗合バス事業だけでなく新たな交通サービス事業をも視野に入れた地域交通のあり方を 協議することは有意義である。
  この場合、交通事業の地域的な広がりに対応した協議が必要となるので、各都市のほか、都道府県においても相応の役割を果たすことが求められると考えられる。
  また、その協議により地域交通計画のような何らかの計画を策定することについては、規制緩和の趣旨と整合性をもった制度の在り方、実効性の確保方策等について検討する必要がある。

4.公的補助のあり方について
  退出についての規制廃止が安易な公的助成への期待を生むことなく、民間事業者が最善の経営努力をすることを前提としたうえで、なお住民生活の確保のための公的な助成が必要となることが考えられる。この場合、助成対象の路線等は地方公共団体(一般的には路線が複数の市町村の区域にわたる場合が多いと考えられるが、その場合、関係市町村と協議のうえ都道府県)が決定することが適当である。
  また、助成に要する地方負担については、国において十分な財源措置を講ずる必要がある。

5.その他
  都市として市民生活のため、必要な交通確保への対応をするについては、法制上の都市自治体の位置づけ、都市財政の対応力の乏しさが大きな問題である。
また、市民の交通確保にあたっては、乗合バスのみでなく、乗合タクシー、スクールバス、福祉バスなど多様な交通手段を活用する必要がある。