3 アンケート概要
(1) アンケート発送・回収状況
「21世紀の都市及び都市政策に関する調査」は、都市関連の学問・事業に携わっている有識者やオピニオンリーダー約1,000名を対象に1997年の7月と11月の2回にわたりデルファイ法調査を行った。さらに11月の第2回調査では全国市長670名も対象とした。
調査の対象と回収数は以下の通りである。
「21世紀の都市及び都市政策に関する調査」は、都市関連の学問・事業に携わっている有識者やオピニオンリーダー約1,000名を対象に1997年の7月と11月の2回にわたりデルファイ法調査を行った。さらに11月の第2回調査では全国市長670名も対象とした。
調査の対象と回収数は以下の通りである。
表1 対象別発送数と回収数
|
有 識 者
|
市 長
|
|
第1回調査
|
第2回調査
|
||
発送数(件)
|
1,584
|
1,170
|
670
|
回収数(件)
|
1,170
|
948
|
514
|
回収率(%)
|
73.9
|
81.0
|
76.7
|
アンケート回答者は各都道府県から少なくとも3名以上の回答を得ている。都市規模別では、有識者調査で大都市居住者23%、中都市居住者・小都市居住者が40%弱ずつとなった。市長では全国670都市の2/3が人口10万人未満の都市である事から、小都市の比率が高くなっている。
表2 アンケート回答者の居住地
|
有識者
|
市長
|
参考:市の数
|
大都市(政令指定都市)
|
23.3%
|
2.0%
|
12(1.8%)
|
中都市(人口10万人以上の都市)
|
37.8%
|
32.7%
|
211(31.5%)
|
小都市(人口10万人未満の都市)
|
38.9%
|
65.3%
|
447(66.7%)
|
(2)アンケート構成
デルファイ法は同じ質問を、結果をフイードバックしながら数回繰り返し意見の収束を図ることを目的としている。本調査はデルファイ法を採用しながらも、第2回調査では、第1回の回答結果を参考に質問内容を一部修正するとともに新たな質問を加えた。
第1回アンケートは4分野、35問、第2回アンケートは3分野、18問で構成されている。
4 アンケート回答結果
(2)21世紀の都市の社会環境変化 (有識者のみ)
21世紀に向けての社会環境変化を「長寿少子化、知識情報化、生活価値化、グローバル化、資源制約化」で捉えると、施設整備や体制、政策が後追い状態にあり、快適な社会環境になるとは言い難いとしている。
1)長寿少子社会
在宅介護が謳われているが、2025年でも整備が進まず、家族や施設による介護に頼らざるを得ない状況が続いているとしている(「家庭及び施設依存長寿型」(38.8%))。都市の状況は、高齢者が自由に移動でき、住みやすい生活環境にはなっていないとしている。特に大都市で高齢者に優しい環境が整備されていないとしている。
2)知識情報化社会
情報化がさらに浸透し、高齢者などを主体とした情報ツールを使いこなせない情報弱者が顕在化するとしている(「情報弱者顕在型」(42.3%))。在宅勤務や在宅ショッピングが普及するとしているが、大都市ではオフィス需要の縮小や交通渋滞、ラッシュの緩和にはならないとしている。
また情報化社会ではフェイス・ツー・フェイスのヒューマンネットワークが重視されるとしている。
3)生活価値社会
ライフスタイルや価値観の多様化は、個人主義や気の合った友人グループでの連携を深めるとしている(「個人連携型」(35.3%))。都市の状況は生活環境の向上や居住地の美しさに関する意識が高まり、ボランティア活動が活発化するとしている。しかし地域コミュニティヘの参加意識は薄れるとしている。
4)グローバル社会
グローバル化はビジネスから生活居住環境に及んでいる。地域経済はサービス産業やソフト産業が成長に伴い構造転換をする(「地域経済構造転換型」(39・8%))ことを期待している。しかし実際には、地域工場の閉鎖等により産業空洞化する(「地域経済空洞化型」(29・5%))都市が増え、二極化されるとしている。都市の状況は外国とのアクセスが格段によくなり日本人と外国人が混在し、外国人に対して教育、福祉、行政サービス面での対応が課題となっている。
5)資源制約・自然共生社会
地球環境問題で最も深刻な問題である大気汚染問題はアジアからの越境公害によりさらに深刻な状態になっているとしている(「環境問題拡大型」(34.4%))。都市部では各地にリサイクルセンターや、分散型エネルギー源が整備され推進されるが、廃棄物処理の問題は解決されていないとしている(「廃棄物問題未解決型」(33.8%))。
(3)都市の姿(有識者、市長)
1)都市システム
21世紀は都市の自立の時代といわれている。国土構造は魅力的な都市、地方中核都市や個性的な都市が発展するとしている。東京への一極集中は薄れ、地方への移動が生じているとしている。
都市構造は既存工業地や中心市街地の衰退、市街地の郊外化、インナーシティ問題が深刻化するとしている。特に小都市ほど、その比率が高くなっている。都市規模は県により異なるが町村合併により市の数が増加するとしている。
2)国、市民との関係
国との関係では地方分権が進み、都市への権限移譲が増大するとしているが、約40%の回答者が現状と同様に国の関与が続くとしている。都市規模が大きいほど県の役割が薄れているとしていることが注目される。
また市民との関係では市民公益活動が盛んになり、市政に積極的に関わり市民自治の責任を果たそうとする市民が増加するとしているが、市政に対する無関心層も増えているとしている。有識者・市長ともに過半数が議会制とともに市民による直接的な参政制度が両立するとしているが、地域代表者会議などの市民の直接的な関与で市政が決定されることは期待できないとしている。
3)行政運営
行政運営については、行政業務の民間移管・委託、コスト意識の高まり、行政組織のスリム化が図られているとしている。市長ではこれらの項目についての比率が80%以上を占めており、行政改革の必要性が重視されている。他に市長は能力主義や縦割り行政の改善を挙げている。一方、行政改革が進展しないという比率も有識者で48%、市長で34%を占めていることが留意される。
表7 都市の魅力として重要と思う点(有識者のみ)-上位5項目-
表9 都市政策の優先順位
デルファイ法は同じ質問を、結果をフイードバックしながら数回繰り返し意見の収束を図ることを目的としている。本調査はデルファイ法を採用しながらも、第2回調査では、第1回の回答結果を参考に質問内容を一部修正するとともに新たな質問を加えた。
第1回アンケートは4分野、35問、第2回アンケートは3分野、18問で構成されている。
4 アンケート回答結果
(1)現在の都市の問題点(有識者のみ)
現在、都市が抱えている問題で、非常に深刻な問題点は「廃棄物処理、財政悪化、高齢者 の増加、中心商店街の空洞化」(25%以上の回答)と「環境、行政、福祉、経済・産業」と幅 広い分野にわたっている。行政に関しては「市民の行政への無関心・不参加」が挙げられているのが注目される。都市規模別の特徴では大都市で「災害に対する脆弱性、大気汚染・水 質汚濁」、中都市・小都市で「中心商店街の空洞化、若者の流出」が問題とされている。
現在、都市が抱えている問題で、非常に深刻な問題点は「廃棄物処理、財政悪化、高齢者 の増加、中心商店街の空洞化」(25%以上の回答)と「環境、行政、福祉、経済・産業」と幅 広い分野にわたっている。行政に関しては「市民の行政への無関心・不参加」が挙げられているのが注目される。都市規模別の特徴では大都市で「災害に対する脆弱性、大気汚染・水 質汚濁」、中都市・小都市で「中心商店街の空洞化、若者の流出」が問題とされている。
表3 有識者の居住地別にみた深刻度の高い上位5項目(「非常に問題である」とする項目)
全体
|
大都市居住者
|
中都市居住者
|
小都市居住者
|
廃棄物問題 36.2%
財政の悪化 27.9% 高齢者の増加 25.6% 中心商店街の空洞化 25.4% 自然・生態環境の喪失 23.7% |
廃棄物問題 47.2%
自然・生態環境の喪失 33.2% 災害に対する脆弱性 32.2% 大気汚染・水質汚濁 29.0% 財政の悪化 28.2% |
廃棄物問題 34.9%
中心商店街の空洞化 24.3% 財政の悪化 23.9% 市民の行政への無関心・不参加 23.0% 自然・生態環境の喪失 21.7% |
中心商店街の空洞化
35.5% 高齢者の増加 32.6% 財政の悪化 31.5% 廃棄物問題 30.8% 若者の流出 23.2% |
(2)21世紀の都市の社会環境変化 (有識者のみ)
21世紀に向けての社会環境変化を「長寿少子化、知識情報化、生活価値化、グローバル化、資源制約化」で捉えると、施設整備や体制、政策が後追い状態にあり、快適な社会環境になるとは言い難いとしている。
1)長寿少子社会
在宅介護が謳われているが、2025年でも整備が進まず、家族や施設による介護に頼らざるを得ない状況が続いているとしている(「家庭及び施設依存長寿型」(38.8%))。都市の状況は、高齢者が自由に移動でき、住みやすい生活環境にはなっていないとしている。特に大都市で高齢者に優しい環境が整備されていないとしている。
2)知識情報化社会
情報化がさらに浸透し、高齢者などを主体とした情報ツールを使いこなせない情報弱者が顕在化するとしている(「情報弱者顕在型」(42.3%))。在宅勤務や在宅ショッピングが普及するとしているが、大都市ではオフィス需要の縮小や交通渋滞、ラッシュの緩和にはならないとしている。
また情報化社会ではフェイス・ツー・フェイスのヒューマンネットワークが重視されるとしている。
3)生活価値社会
ライフスタイルや価値観の多様化は、個人主義や気の合った友人グループでの連携を深めるとしている(「個人連携型」(35.3%))。都市の状況は生活環境の向上や居住地の美しさに関する意識が高まり、ボランティア活動が活発化するとしている。しかし地域コミュニティヘの参加意識は薄れるとしている。
4)グローバル社会
グローバル化はビジネスから生活居住環境に及んでいる。地域経済はサービス産業やソフト産業が成長に伴い構造転換をする(「地域経済構造転換型」(39・8%))ことを期待している。しかし実際には、地域工場の閉鎖等により産業空洞化する(「地域経済空洞化型」(29・5%))都市が増え、二極化されるとしている。都市の状況は外国とのアクセスが格段によくなり日本人と外国人が混在し、外国人に対して教育、福祉、行政サービス面での対応が課題となっている。
5)資源制約・自然共生社会
地球環境問題で最も深刻な問題である大気汚染問題はアジアからの越境公害によりさらに深刻な状態になっているとしている(「環境問題拡大型」(34.4%))。都市部では各地にリサイクルセンターや、分散型エネルギー源が整備され推進されるが、廃棄物処理の問題は解決されていないとしている(「廃棄物問題未解決型」(33.8%))。
表4 社会環境変化別にみた回答者が最も多く選んだシナリオの確度(単位:%)
長寿少子社会
|
家族及び施設依存長寿型
|
在宅ケアの整備が遅れ、家族や施設による介護に頼っている。個人の資産状況により受けるサービスに違いがでる。女性の社会参加が困難であることが問題視されている。
|
38.8 |
知識情報社会
|
情報弱者顕在型
|
高齢者を主体に情報通信ツールを使いこなせない人々が多く存在し、電話・テレビ等の従来型のサービスが共存している。
|
42.3 |
生活価値社会
|
個人連帯型
|
趣味や仲間同士の連帯意識が強まり、職場や地域を超えてのグループ活動が展開される。地域への参加意識は弱まる。
|
35.3
|
グローバル社会
|
地域経済構造転換型
|
労働集約的な工場は少なくなり、情報通信、福祉、医療、環境等のサービス産業やソフト産業が成長し、地域経済は構造転換を遂げ発展する。
|
39.8
|
資源制約・自然共生社会
|
環境問題拡大型
|
資源制約等の活動は進められているが、限界でありエネルギー消費の増大に歯止めがかからない。CO2削減が進まず、アジア諸国の環境対策も進まずに酸性雨の被害が広がっている。
|
34.4
|
(3)都市の姿(有識者、市長)
1)都市システム
21世紀は都市の自立の時代といわれている。国土構造は魅力的な都市、地方中核都市や個性的な都市が発展するとしている。東京への一極集中は薄れ、地方への移動が生じているとしている。
都市構造は既存工業地や中心市街地の衰退、市街地の郊外化、インナーシティ問題が深刻化するとしている。特に小都市ほど、その比率が高くなっている。都市規模は県により異なるが町村合併により市の数が増加するとしている。
2)国、市民との関係
国との関係では地方分権が進み、都市への権限移譲が増大するとしているが、約40%の回答者が現状と同様に国の関与が続くとしている。都市規模が大きいほど県の役割が薄れているとしていることが注目される。
また市民との関係では市民公益活動が盛んになり、市政に積極的に関わり市民自治の責任を果たそうとする市民が増加するとしているが、市政に対する無関心層も増えているとしている。有識者・市長ともに過半数が議会制とともに市民による直接的な参政制度が両立するとしているが、地域代表者会議などの市民の直接的な関与で市政が決定されることは期待できないとしている。
3)行政運営
行政運営については、行政業務の民間移管・委託、コスト意識の高まり、行政組織のスリム化が図られているとしている。市長ではこれらの項目についての比率が80%以上を占めており、行政改革の必要性が重視されている。他に市長は能力主義や縦割り行政の改善を挙げている。一方、行政改革が進展しないという比率も有識者で48%、市長で34%を占めていることが留意される。
表5 都市の姿(「大いに思う」+「思う」の合計、上位項目)
都市システム
|
・魅力的、高質なサービスを提供する都市が発展する
・個性的な地方都市が活性化している ・東京への一極集中が薄れ、地方への移動が生じる |
都市構造
|
・市街地の郊外化、中心市街地の老朽化等、インナーシティ問題が
深刻化する ・既成市街地がさびれ製造業の空洞化が進む |
都市の数・規模
|
・県により様々である
・町村の合併により市の数が増加する |
国との関係
|
・地方分権が進み都市への権限移譲が増大する
・現状と同程度の国の関与が続くとしている ・県の役割が薄れる |
市民との関係
|
・市民公益活動等が盛んになる
・市政に積極的に参加しようとする市民が増加する ・市民による直接的な参政制度と議会が両立している |
行政運営
|
・行政業務を民間に委託・移管している
・能力主義やコスト意識の定着など、企業経営を採用する ・行政組織のスリム化、フラット化が実現している |
(4)都市に関するキーワードと魅力(有識者、市長)
1)都市イメージ
2025年の都市のイメージは「安全・安心」、「快適」であり、都市づくりのキーワードは、「環境、リサイクル」、「安全・安心」、「市民」となっている。都市の魅力は深刻な問題である「廃棄物問題、自然環境の悪化等」に取り組むこと、高齢者になっても「安全・安心」して生活できること、市民の意見が市政に反映されることを挙げている
1)都市イメージ
2025年の都市のイメージは「安全・安心」、「快適」であり、都市づくりのキーワードは、「環境、リサイクル」、「安全・安心」、「市民」となっている。都市の魅力は深刻な問題である「廃棄物問題、自然環境の悪化等」に取り組むこと、高齢者になっても「安全・安心」して生活できること、市民の意見が市政に反映されることを挙げている
表6 都市づくりにおけるキーワード -上位5項目-
有識者
|
市長
|
1 環境・リサイクル 45.7%
2 安全・安心 31.1% 3 市民 27.1% 4 自然 24.0% 5 高齢者 23.1% |
1 環境・リサイクル 42.8%
2 高齢者 29.7% 3 市民 27.7% 4 安全・安心 27.1% 5 交流・連携 26.3% |
表7 都市の魅力として重要と思う点(有識者のみ)-上位5項目-
高齢者になっても安心して生活できる 39.1%
安全である 31.2% 自然環境に恵まれている 22.7% いろいろな就業機会がある 22.6% 市民の意見が市政によく反映されている 22.4% |
居住したい都市を見ても、国内では仙台市、京都市、金沢市、海外ではウィーン、バンクーバーといった自然があり治安のよい観光地や古都が挙げられている。
表8 有識者が居住したい都市(有識者のみ)-10件以上の回答-
日 本
|
外 国
|
仙台市 35
京都市 25 金沢市 22 神戸市 21 札幌市 19 福岡市 19 横浜市 12 奈良市 12 |
ウィーン 27
バンクーバー 25 シアトル 17 サンフランシスコ 16 ボストン 15 ロンドン 15 ミュンヘン 13 フライブルク 12 シドニー 11 シンガポール 11 パリ 11 ストックホルム 10 |
(5)都市政策(有識者、市長)
1)都市政策の立案
回答者の60%以上が、「都市政策は行政と市民が対等な立場で検討し立案することが望ましい」としている。
2)都市政策の優先順位
高齢社会における「福祉政策」が、より身近な問題として多く論じられているが、第1位には有識者・市長ともに「省資源・リサイクル政策」を挙げている。有識者では犯罪の低年齢化等から第5位に「教育政策」、市長では第3位に「都市基盤整備政策」を挙げているのが特徴である。都市規模別では、大都市で「防災政策、新規産業創業政策、女性支援政策」、市長の中都市・小都市で「都市基盤整備政策、都市内幹線道路整備政策」を挙げている。
政策の取組主体は、「都市内幹線道路整備、空港港湾整備政策」などの大規模インフラ整備は公共単独としているが、その他は概ね公共、民間、市民の協動としている。
1)都市政策の立案
回答者の60%以上が、「都市政策は行政と市民が対等な立場で検討し立案することが望ましい」としている。
2)都市政策の優先順位
高齢社会における「福祉政策」が、より身近な問題として多く論じられているが、第1位には有識者・市長ともに「省資源・リサイクル政策」を挙げている。有識者では犯罪の低年齢化等から第5位に「教育政策」、市長では第3位に「都市基盤整備政策」を挙げているのが特徴である。都市規模別では、大都市で「防災政策、新規産業創業政策、女性支援政策」、市長の中都市・小都市で「都市基盤整備政策、都市内幹線道路整備政策」を挙げている。
政策の取組主体は、「都市内幹線道路整備、空港港湾整備政策」などの大規模インフラ整備は公共単独としているが、その他は概ね公共、民間、市民の協動としている。
表9 都市政策の優先順位
第1位
|
第2位
|
第3位
|
第4位
|
第5位
|
|
有識者
|
省資源・リサイクル政策 (67.3%)
|
福祉政策
(40.7%) |
廃棄物処理政策 (29.7%)
|
新規産業創業政策 (27.4%)
|
教育政策
(24.7%) |
大都市
居住者 |
省資源・リサイクル政策 (69.8%)
|
福祉政策
(41.9%) |
廃棄物処理政策 (31.6%)
|
防災政策
(27.4%) |
教育政策、新規産業創業政策、 (23.7%)
|
中都市
居住者 |
省資源・リサイクル政策 (70.8%)
|
福祉政策
(41.3%) |
新規産業創業政策 (31.2%)
|
廃棄物処理政策 (28.0%)
|
公共交通整備政策 (25.7%)
|
小都市
居住者 |
省資源・リサイクル政策 (62.4%)
|
福祉政策
(39.3%) |
廃棄物処理政策 (30.2%)
|
教育政策
(28.8%) |
新規産業創業政策 (25.9%)
|
市長
|
省資源・リサイクル政策 (67.2%)
|
福祉政策
(65.2%) |
都市基盤整備政策 (44.7%)
|
新規産業創業政策 (31.8%)
|
廃棄物処理政策 (31.0%)
|
大都市
|
新規産業創業政策 (90.0%)
|
省資源・リサイクル政策、福祉政策
(70.0%) |
公共交通整備政策 (40.0%)
|
女性支援政策
(30.0%) |
|
中都市
|
省資源・リサイクル政策 (74.2%)
|
福祉政策
(63.2%) |
都市内幹線道路整備政策
(33.1%) |
都市基盤整備政策 (32.5%)
|
新規産業創業政策 (30.1%)
|
小都市
|
福祉政策
(66.0%) |
省資源・リサイクル政策 (63.6%)
|
都市基盤整備政策 (52.0%)
|
廃棄物処理政策 (33.0%)
|
新規産業創業政策 (30.8%)
|
3)自立的運営政策の優先順位
都市の自立的運営政策については、有識者では「情報公開政策」、市長は「広域行政政策」を第1位に挙げている。今日の財政悪化の状況下において、市長は「財政健全化政策」を第3位に挙げている。大都市・中都市に居住する有識者は「情報公開政策」、市長は「業務効率化政策」を第1位に挙げているが、小都市では有識者・市長ともに「広域行政政策」となっている。
都市の自立的運営政策については、有識者では「情報公開政策」、市長は「広域行政政策」を第1位に挙げている。今日の財政悪化の状況下において、市長は「財政健全化政策」を第3位に挙げている。大都市・中都市に居住する有識者は「情報公開政策」、市長は「業務効率化政策」を第1位に挙げているが、小都市では有識者・市長ともに「広域行政政策」となっている。
表 10 都市の自立的運営政策の優先順位
|
第1位
|
第2位
|
第3位
|
有識者
|
情報公開政策(60.1%)
|
広域行政政策 (58.3%)
|
業務効率化政策
(54.8%) |
大都市居住者
|
情報公開政策(73.5%)
|
業務効率化政策
(54.4%) |
市民自治活性化政策
(49.3%) |
中都市居住者
|
情報公開政策(61.8%)
|
広域行政政策 (59.2%)
|
業務効率化政策
(54.6%) |
小都市居住者
|
広域行政政策(71.1%)
|
業務効率化政策
(55.2%) |
情報公開政策
(50.4%) |
市 長
|
広域行政政策(75.3%)
|
業務効率化政策
(72.7%) |
財政健全化政策
(64.0%) |
大 都 市
|
業務効率化政策
(70.0%) |
市民自治活性化政策
(60.0%) |
財政健全化政策、広域行政政策 (50.0%)
|
中 都 市
|
業務効率化政策
(74.8%) |
広域行政政策 (66.3%)
|
財政健全化政策
(65.0%) |
小 都 市
|
広域行政政策
(80.7%) |
業務効率化政策
(71.7%) |
財政健全化政策
(63.9%) |
表 11 課題別に見た優先施策
|
有 識 者
|
市 長
|
長寿少子化
|
・民間や市民団体による在宅介護サー
ビスの拡大 (66.0%) ・定年後の起業、就業、ボランティア 参加の支援 (60.6%) ・育児・介護休暇の充実 (35.4%) |
・民間や市民団体による在宅介護サ
ービスの拡大 (90.9%) ・定年後の起業、就業、ボランティ ア参加の支援 (59.9%) ・育児・介護休暇の充実 (42.9%) |
社会資本整備
|
・文化・伝統の継承と文化水準の向上
(41.2%) ・老朽密集市街地の改善 (39.0%) ・小中学校の再編と地域福祉・防災拠 点、機能複合化 (38.8%) |
・都市中心部の再開発推進(56.0%)
・文化・伝統の継承と文化水準の向 上 (51.4%) ・既存公共施設の有効活用(51.4%) |
地球環境問題
|
・リサイクル・省資源の義務づけ強化(73.1%)
・リサイクル・廃棄物回収の企業責任 (68.8%) ・廃棄物処理技術の研究開発支援 (39.7%) |
・リサイクル・省資源の義務づけ強化
(91.0%) ・リサイクル・廃棄物回収の企業責任 (80.7%) ・廃棄物処理基準の厳格化と罰則強 化 (43.2%) |
行政運営
|
・国や県からの権限移譲 (55.3%)
・国や県からの財源移譲 (51.8%) ・単年度予算消化主義の改善(47.5%) |
・国や県からの財源移譲 (77.7%)
・行政事務の抜本的見直し(67.3%) ・国や県からの権限移譲 (63.1%) |
1)長寿少子化
本調査で得られた2025年の長寿少子化のシナリオは「家族及び施設依存長寿型」または「長 寿貧困型」としている。これは在宅ケアの整備の遅れや、年金の受給年齢の引き上げ等により高齢者の保有資産により受けるサービスが異なるとしている。また介護により女性の社会進出が進まないことが問題視されている。このため以下のような施策が必要とされている。
(有識者、市長ともに20%以上の回答項目)
① 介護:民間や市民団体による在宅介護サービスの拡大、ホームヘルパーの充実
② 高齢者の経済的自立や社会参加:定年後の起業・就業、ボランティア参加への支援、生涯教育、
社会人教育の市民総合大学の開設
③ 女性の社会進出支援:育児・介護休暇の充実
2)社会資本整備
住宅、道路、交通などの社会資本整備は生活向上や経済基盤の構築に大きな役割を果たしている。しかし、財政悪化による公共事業投資の削減により、今後は既存施設の有効活用や都市中心部の再生を図ることが重要であるとしている。また、成熟社会となり経済的な豊かさから精神的な豊かさを求め、文化や景観、自然への保全や配慮が重視されている。
① 既存施設の有効活用:既存公共施設の活用、小中学校の再編と地域拠点・防災拠点としての機能の複合化、土地利用の公共的制約の強化
② 都市中心部の再生:老巧市街地の改善、都市中心部の再開発推進
③ 文化保全:地域の文化・伝統の継承と文化水準向上、歴史的街並みの保全や本格的復元
④ 景観への配慮:共同溝や電線地中化の徹底、都市景観のために高度、色彩のコントロール
⑤ 生活改善:市域全体の完全下水道整備
(有識者、市長ともに20%以上の回答比率の項目)
また大都市では、都市中心部への自動車の乗り入れ禁止など総合的交通需要管理(TDM)の徹底(有識者の大都市居住者21.0%、市長の大都市70.0%)が重要であるとしている。
3)地球環境問題
21世紀にはさらに深刻となる地球環境問題は、都市の重要な課題である。本調査で得られたシナリオは悲観的な「環境問題拡大型」と「廃棄物問題未解決型」であった。地球環境問題は京都会議で検討された二酸化炭素の排出量規制など大気汚染の問題が最も重要であるが、ここではリサイクルや廃棄物などの問題を中心としている。
対応策では、「リサイクル・省資源の義務づけ強化、リサイクル・廃棄物回収の企業責任」が最も重要とされている。対応は施設等のハード面と制度や意識のソフト面、企業・行政の扱う点と市民が実施する点に分かれる。
表 12 地球環境問題へ取り組むべき施策(有識者、市長で20%以上の回答)
|
ハード面(施設)
|
ソフト面(制度、意識の主体)
|
行政・企業 市民 |
・クリーンエネルギーの公共施設、公共空間での利用
・廃棄物処理技術の研究開発への支援 ・地域リサイクルセンターの整備 |
・リサイクル品、廃棄物回収の企業責任の徹底
・アルミ缶、プラスティック容器等のデポジット制拡大 ・廃棄物処理に関する基準の厳格化と罰則の強化 ・行政・企業・市民によるリサイクル・省資源 の義務づけ強化 ・義務教育等での環境科目の必須化 |
4)行政運営
地方分権が進展し、都市は自立的な、より市民に開かれた効率的な行政運営が必要とされる。国や県との関係、行政組織のあり方、市民との関係の中で、効率的な運営施策を行う事が望まれている。
① 国や県との関係:国や県からの権限移譲、財源移譲
② 行政組織:行政事務の抜本的見直し、行政組織のスリム化、地方公務員の能カレベルアップ、周辺市町村との施設・サービスの相互利用、周辺市町村との広域連合制度による広域行政の推進
③市民との関係:住民組織への身近なまちづくりの委託
(有識者、市長ともに30%以上の回答比率の項目)
有織者・市長が重視しているのは「国や県からの権限や財源の移譲、行政事務の見直し」である。有識者の特徴として「単年度予算消化主義の改善(47.5%)、住民投票制度の導入(29.4%)、外部監査制度の導入(29.4%)、シティーマネージャ制の導入(25.0%)」等、多様な行政運営方式を図ることが重要であるとしている。市長では、「住民組織への身近なまちづくりの委託(35.5%)、行政事務の見直し(67.3%)、行政組織のスリム化(57.8%)、地方公務員の能力のレベルアップ(61.8%)」など主に既存組織内の改革を図ることを重視している。
5)行政業務の効率化
行政業務の効率化を目的として事業主体を見直すと、現状と同様に公共が行うべき事業は「消防、上水道の維持管理」である。反対に民営化が望ましい事業は「公共交通」、民間・市民公益同体への委託事業は「公共施設の維持管理、公園や街路樹の維持管理、ホームヘルパーサービス、ゴミ収集」となる。利用頻度が高い事業、融通性の欲しい事業、現在不足している事業については民営化や民間委託への検討をする必要があるとみられる。
① 国や県との関係:国や県からの権限移譲、財源移譲
② 行政組織:行政事務の抜本的見直し、行政組織のスリム化、地方公務員の能カレベルアップ、周辺市町村との施設・サービスの相互利用、周辺市町村との広域連合制度による広域行政の推進
③市民との関係:住民組織への身近なまちづくりの委託
(有識者、市長ともに30%以上の回答比率の項目)
有織者・市長が重視しているのは「国や県からの権限や財源の移譲、行政事務の見直し」である。有識者の特徴として「単年度予算消化主義の改善(47.5%)、住民投票制度の導入(29.4%)、外部監査制度の導入(29.4%)、シティーマネージャ制の導入(25.0%)」等、多様な行政運営方式を図ることが重要であるとしている。市長では、「住民組織への身近なまちづくりの委託(35.5%)、行政事務の見直し(67.3%)、行政組織のスリム化(57.8%)、地方公務員の能力のレベルアップ(61.8%)」など主に既存組織内の改革を図ることを重視している。
5)行政業務の効率化
行政業務の効率化を目的として事業主体を見直すと、現状と同様に公共が行うべき事業は「消防、上水道の維持管理」である。反対に民営化が望ましい事業は「公共交通」、民間・市民公益同体への委託事業は「公共施設の維持管理、公園や街路樹の維持管理、ホームヘルパーサービス、ゴミ収集」となる。利用頻度が高い事業、融通性の欲しい事業、現在不足している事業については民営化や民間委託への検討をする必要があるとみられる。