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(中心市街地の活性化対策に関する意見)G市 人口44万人

(中心市街地の活性化対策に関する意見) 事例7  G市 人口44万人
 

1 中心市街地の現状及び活性化施策の概要について
 中心市街地は、本市の顔、本県一の商業地として発展してきま したが、モータリゼーションの進展、大店法の規制緩和、環状道路の開通や消費者動向の変化などから、大型店の郊外出店、空き店舗の増加、通行量や来街者、都心居住者の減少など、相対的に活力が低下している状況にある。

 そこで、本市の中心市街地活性化に向けた取り組みとして、「市街地再開発事業〔2百貨店(H2,H9オープン)〕」や「市営駐車場建設事業」、「くらしの道づくり事業」、「身近かなまちづくり支援街路事業」、「城址公園の再整備」などのハード事業をはじめ、賑わいづくりとしての「まつり」や「商業祭」などの各種イベントの実施、夜の明るさと賑わいのための「ライトアップ事業」などのソフト事業を積極的に推進しているが、バブル崩壊後の厳しい経済環境などから、活力の低下に歯止めがかからない状況にある。 

 特に、再開発着工寸前まで進展していた事業が、突然のキーテナント撤退により頓挫し、その後、未利用地となってしまっている地区や、バブル期に取得した中心市街地のメーンストリート沿いの老朽化した建物が放置されている地区など、再開発事業に積極的に取り組んでいるが、キーテナント、デベロッパーの誘致が困難であり、現状においてはなかなか進まない状況にある。

 このようなことから、中心市街地活性化の諸施策、事業を総合的かつ横断的に調整し、効率的で効果的に進めるため、本年4月庁内組織として「都心部活性化推進班」を設置した。

 また、魅力ある商店街の形成や地域振興を図るため、「公共と民間のはざまの事業」や「公共と民間の調整」、「地域振興に寄 与する民間事業への支援」等を行う組織として、公共と民間が一体となった「(仮称)まちづくり推進機構」の設立を計画している。

 この組織においては、キーテナント、デベロッパー誘致などの都市開発事業の支援に関する事業や賑わいづくりによる地域活性化のためのソフト事業、中心商業振興のための駐車場などの公益的な施設の建設、管理運営に関する事業、地場産業の低迷などから活力が低下している特定地域の振興に関する事業などに取り組む予定である。
 

2 中心市街地活性化施策実施上の問題点について
 (1) 中心市街地活性化を推進する第3セクター設立における問題

   現在、中心市街地における都市開発事業や空き店舗、未利用地対策などの諸課題の解決に向け、公共、民間がそれぞれの役割分担に基づき取り組んでいるが、諸々のルールの制約を受ける公共、利益追求が至上命題の民間といった構図の中では、地域全体の振興に向けた公益的事業の推進には自ずと限界がある。

   このようなことから、公共の持つ信頼性、民間のもつ経営力や多くの企業によるネットワークが活用できる第3セクターとして財団法人を設立し、中心市街地活性化のための各種事業を積極的に取り組む予定であるが、現在のような厳しい経済環境のなかでは、出捐金、賛助会費の確保や基本財産の果実での運営は難しい状況にある。

   また、第3セクターに対する民間企業等の参画意向があっても出捐金、賛助会費等の寄附金が損金算入できる「指定寄附金」や「特定公益増進法人」に該当しない第3セクターへの寄附金に対する税制面での優遇策がないため、参画か得られにくい状況にある。

 (2) 「人にやさしいバス」導入上の問題点
   中心市街地への交通弱者等の移動手段の確保やバスの利便性向上等を図るための超低床バスなど「人にやさしいバス」については、バス事業者に対し積極的な導入を働きかけていく必要があるが、このバスは一般バスに比べ車両価格が高価であることから、円滑な導入は容易ではない。

   現在、バス活性化総合対策補助(運輸省)や交通施設利用円滑化対策費助成金((財)交通アメニティ推進機構)などの助成制度があるが、補助採択率が非常に低いことから導入計画がたてにくい状況にある。

 (3) 街路事業推進上での問題点
   「くらしのみちづくり事業」や「身近かなまちづくり支援街路事業」などによる中心市街地の道路整備は、都市機能,都市  環境の向上に寄与するとともに秩序ある都市景観の形成に重要な役割を担うことから、本市においては積極的に推進しているが、既存の道路幅員の中でいかに歩行空間を確保していくかに苦慮している。

   また、魅力ある都市景観を創出するためには道路整備とともに統一看板やファサード整備などの沿道景観を一体的に整備する必要があるが、沿道の個店等が行う改装等には財政的な負担が大きくなることから、沿道景観整備がなかなか進まない。

 (4) 特定優良賃貸住宅を中心市街地に導入する上での問題点
   本市においては、平成9年度より特定優良賃貸住宅への補助を制度化したところであるが、中堅所得層への優良賃貸住宅の供給という住宅行政上の目的のほかに、住宅政策面からのまちづくりへの支援策として位置づけたところである。

   しかしながら、土地の細分化された都心部においては、認定基準における戸数要件の10戸以上の確保は極めて困難な状況にある。

   また、大都市に比較し家賃相場が低額な地方では、現行の入居者負担基準額では10年前後で家賃補助がなくなり、供給する事業者としては制度の魅力が希薄になっている。


 

 ※掲載の資料はシステムの関係上、発表月の1日付としていますが、必ずしも当該の日に発表されたものではありません。