(中心市街地の活性化対策に関する意見)事例2 B市 人口5万人
1 中心市街地の現状
(1) 歴史的市街地としての中心市街地
当市の中心市街地は門前町、宿場町として古くから町場を形成していた。さらに江戸期には、街道の分岐点であったことから交通の要衝として栄えていた。
こうした歴史的な発展過程から、当地区は街道としての道筋や伝統的な街なみの面影などを歴史的資源として残す反面、狭隘で未整備な街路が残っていたり、木造家屋の老朽化が進むといった問題点も併せ持った市街地となっている。
(2) 市街地の拡大
明治以降は、鉄道の開通や幹線道路の開通、工場の進出などにより幹線道路沿道や周辺での市街化が徐々に進展していった。
昭和50年代以降は、周辺の農地を中心とした大規模な土地区画整理事業により良好な新市街地が形成され、市街地が大きく拡大された。
(3) 都市機能が流出する中心市街地
かつては繁栄を極めた中心市街地は、行政機能の集積や鉄道等のターミナル機能等が立地し、当市の中心的機能を担ってきた。
しかし近年は、新市街地で住宅が大量に供給されるとともに、市庁舎、保健所、中央公民館、病院といった市民サービス機能が中心市街地から新市街地に移転し、郊外におけるスーパー等の商業施設立地と併せて、人口重心や人の流れ、都市機能が新市街地ヘと移動している状況にある。
このため、これまでの中心市街地では都市的機能が低下してきており、特に商業機能については、旧街道沿いに形成されていた商店街において、住居への転用、空き家、空き地が目立つようになってきており、伝統的な様式を持った建築物が取り壊されるなど大きな変化が起きている。
(4) 再整備の気運の高まり
商店街の衰退や鉄道の利用者減少を背景に、中心市街地の都市的機能の再編が課題となるなか、駅周辺地区において再開発機運が高まり、平成3年には地元組織も結成され、行政と一体となって中心市街地活性化に向けての取り組みが開始された。
2.活性化対策の概要
(1) 中心市街地の整備方向
中心市街地の沿革と特性を踏まえると、整備方向としては大きく次の2点があげられる。
① 都市核としての中心性を高め、都市構造の明確化を図る。
・ 市の玄関口となる中心都市核の形成
・ 基幹的な交通ネットワークの再編
・ 既存市街地における土地利用の再編・強化
・ 新市街地での適正な土地利用誘導と既存市街地との連携強化
② 中心市街地が持つ都市機能を再編・強化するとともに、新たな機能導入を図る。
・ 都市的機能の分担と再編・強化
・ 居住環境の改善
・ 道路環境の改善
・ アメニティ環境の整備
・ 防災性能の向上
・ 街なみの景観形成
(2) 実現に向けての取組み
以上の整備方向を踏まえ、現在、次のような事業を展開中である。
① 市街地再開発事業
市の玄関口にふさわしい商業、文化機能の回復を図るとともに、幹線道路や駅前広場等の整備により、交通拠点としての機能を充実させることを目的としており、一連の活性化施策の中心事業と位置づけている。
②街路事業
幹線道路網の再編・整備により、都市内交通の円滑化を図るとともに、広幅員の歩道整備により市街地中心部における歩行者環境、沿道環境の改善を図る。
また、街路事業にあわせて、沿道における商業施設の誘導を図る。
③ 街なみ環境整備事業
豊かな歴史的資源を継承し、住みよいまちづくりを進めるために、旧街道や生活道路、公園等の地区施設を整備するとともに、歴史的な街なみにふさわしい建築物整備に対する助成を行うなど、住環境、景観、防災性能の向上を目指す。
3.活性化施策実施上の問題点
(1) 地方都市における再開発
地方都市における市街地再開発事業は、床需要との関係で比較的低容積とならざるを得ず、これが床価格に大きな影響を与えており事業の採算性を苦しくする結果となっている。
また、中心市街地活性化の意味からも、事業支援の意味からも、公益施設の導入は不可欠であり、市の出費は相当な額にのぼることとなる。
昨今の財政状況逼迫のなかで、再開発及び関連事業は市としても大きな負担となっており、中心市街地活性化事業に対する補助の拡大が必要である。
(2) 密集市街地の街なみ整備
中心市街地はかなり大きな規模で木造建築物が連たんしており道路も未整備で防災上も大きな課題を抱えている。
しかし、歴史的建築物もこの狭い道路沿いに点在しており、道路拡幅の障害となっている。
また、地区内では若年層の転出により高齢化も進んでおり、高齢者は大きな変化を求めないことも市街地整備全体の障害となっている。
街なみ環境整備事業はこうした地区には適した事業と考えているが、事業の性格上、道路拡幅用地が補助対象にならないなど基盤整備の面からは不充分であり、さらに内容を拡充する必要がある。
(3) 地方鉄道の活性化
地方鉄道は国鉄の赤字路線を引き継ぎ苦しい運営を続けており、駅舎や施設、車両の老朽化も進み、利用者減に拍車をかけている。
中心市街地を活性化するうえでは、鉄道についても施設のリニューアルなどを行っていく必要があり、国の財政的支援が不可欠である。
※掲載の資料はシステムの関係上、発表月の1日付としていますが、必ずしも当該の日に発表されたものではありません。
当市の中心市街地は門前町、宿場町として古くから町場を形成していた。さらに江戸期には、街道の分岐点であったことから交通の要衝として栄えていた。
こうした歴史的な発展過程から、当地区は街道としての道筋や伝統的な街なみの面影などを歴史的資源として残す反面、狭隘で未整備な街路が残っていたり、木造家屋の老朽化が進むといった問題点も併せ持った市街地となっている。
(2) 市街地の拡大
明治以降は、鉄道の開通や幹線道路の開通、工場の進出などにより幹線道路沿道や周辺での市街化が徐々に進展していった。
昭和50年代以降は、周辺の農地を中心とした大規模な土地区画整理事業により良好な新市街地が形成され、市街地が大きく拡大された。
(3) 都市機能が流出する中心市街地
かつては繁栄を極めた中心市街地は、行政機能の集積や鉄道等のターミナル機能等が立地し、当市の中心的機能を担ってきた。
しかし近年は、新市街地で住宅が大量に供給されるとともに、市庁舎、保健所、中央公民館、病院といった市民サービス機能が中心市街地から新市街地に移転し、郊外におけるスーパー等の商業施設立地と併せて、人口重心や人の流れ、都市機能が新市街地ヘと移動している状況にある。
このため、これまでの中心市街地では都市的機能が低下してきており、特に商業機能については、旧街道沿いに形成されていた商店街において、住居への転用、空き家、空き地が目立つようになってきており、伝統的な様式を持った建築物が取り壊されるなど大きな変化が起きている。
(4) 再整備の気運の高まり
商店街の衰退や鉄道の利用者減少を背景に、中心市街地の都市的機能の再編が課題となるなか、駅周辺地区において再開発機運が高まり、平成3年には地元組織も結成され、行政と一体となって中心市街地活性化に向けての取り組みが開始された。
2.活性化対策の概要
(1) 中心市街地の整備方向
中心市街地の沿革と特性を踏まえると、整備方向としては大きく次の2点があげられる。
① 都市核としての中心性を高め、都市構造の明確化を図る。
・ 市の玄関口となる中心都市核の形成
・ 基幹的な交通ネットワークの再編
・ 既存市街地における土地利用の再編・強化
・ 新市街地での適正な土地利用誘導と既存市街地との連携強化
② 中心市街地が持つ都市機能を再編・強化するとともに、新たな機能導入を図る。
・ 都市的機能の分担と再編・強化
・ 居住環境の改善
・ 道路環境の改善
・ アメニティ環境の整備
・ 防災性能の向上
・ 街なみの景観形成
(2) 実現に向けての取組み
以上の整備方向を踏まえ、現在、次のような事業を展開中である。
① 市街地再開発事業
市の玄関口にふさわしい商業、文化機能の回復を図るとともに、幹線道路や駅前広場等の整備により、交通拠点としての機能を充実させることを目的としており、一連の活性化施策の中心事業と位置づけている。
②街路事業
幹線道路網の再編・整備により、都市内交通の円滑化を図るとともに、広幅員の歩道整備により市街地中心部における歩行者環境、沿道環境の改善を図る。
また、街路事業にあわせて、沿道における商業施設の誘導を図る。
③ 街なみ環境整備事業
豊かな歴史的資源を継承し、住みよいまちづくりを進めるために、旧街道や生活道路、公園等の地区施設を整備するとともに、歴史的な街なみにふさわしい建築物整備に対する助成を行うなど、住環境、景観、防災性能の向上を目指す。
3.活性化施策実施上の問題点
(1) 地方都市における再開発
地方都市における市街地再開発事業は、床需要との関係で比較的低容積とならざるを得ず、これが床価格に大きな影響を与えており事業の採算性を苦しくする結果となっている。
また、中心市街地活性化の意味からも、事業支援の意味からも、公益施設の導入は不可欠であり、市の出費は相当な額にのぼることとなる。
昨今の財政状況逼迫のなかで、再開発及び関連事業は市としても大きな負担となっており、中心市街地活性化事業に対する補助の拡大が必要である。
(2) 密集市街地の街なみ整備
中心市街地はかなり大きな規模で木造建築物が連たんしており道路も未整備で防災上も大きな課題を抱えている。
しかし、歴史的建築物もこの狭い道路沿いに点在しており、道路拡幅の障害となっている。
また、地区内では若年層の転出により高齢化も進んでおり、高齢者は大きな変化を求めないことも市街地整備全体の障害となっている。
街なみ環境整備事業はこうした地区には適した事業と考えているが、事業の性格上、道路拡幅用地が補助対象にならないなど基盤整備の面からは不充分であり、さらに内容を拡充する必要がある。
(3) 地方鉄道の活性化
地方鉄道は国鉄の赤字路線を引き継ぎ苦しい運営を続けており、駅舎や施設、車両の老朽化も進み、利用者減に拍車をかけている。
中心市街地を活性化するうえでは、鉄道についても施設のリニューアルなどを行っていく必要があり、国の財政的支援が不可欠である。
※掲載の資料はシステムの関係上、発表月の1日付としていますが、必ずしも当該の日に発表されたものではありません。